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「すみませんでしたー!」丸山茂樹が東京五輪で嬉しかった“松山英樹が試合直後に言った冗談”とは?〈ゴルフ秘話〉
text by
丸山茂樹Shigeki Maruyama
photograph byGetty Images
posted2021/09/12 17:00
リオ五輪から2大会連続で、ゴルフ日本代表監督を務めた丸山茂樹が東京五輪を振り返る
本人は、はらわたが煮えくり返るほど悔しかったでしょう。ただ、試合直後に「メダル取れなくてすいませんでしたー!」と冗談っぽく言っていたんです。それが嬉しかった。彼にとって一番明るい対処の仕方だったと思う。僕がそばについたことが緊張感を和らげることにつながっていたとしたら、役割を全うできたと言えるかもしれません。
1組目のトップバッターという大役を任された陸也にとっては、とてもスリリングな4日間だったでしょう。でも、最終日に5アンダーという今大会のベストスコアを出して終われたことは誇りに思わないといけない。いま25歳ですが、すでに世界を舞台に戦っていた英樹とは立場が違う。陸也はこれからがスタート。今季もメジャー大会を経験していますが、世界のトップと同じ土俵で戦った今回の東京五輪はとても貴重な経験を積めたはずです。
現在、国内ツアー賞金ランクトップ。当然将来は海外でのプレーをイメージしている。東京五輪がいいきっかけになって飛躍につなげてほしい。身長もあり、飛距離も十分。ショットもパットもよくなってきている。刺激を受けながら、自分の長所をしっかり伸ばしていけば、十分期待できるのではないでしょうか。
ゴルフが五輪に浸透するにはまだ時間が必要
これで僕は2016年のリオに続いて、五輪2大会を経験させてもらいました。世界トップレベルのゴルフを間近で堪能できた一方で、観る人もプレーする人も、ゴルフが五輪に浸透するにはまだ時間が必要だと感じました。選手たちにとっても連戦するツアーのなかで1週間、変則的に動くことは容易ではない。出場回避した選手もいたし、大会直前に来日する選手も少なくありませんでした。
今後、ゴルフと五輪の関係性を深めていくには、アマチュアの選手が出場する大会になっても面白いと思いますね。個人戦でなくても、団体戦、ペアを組んで勝負する形でもいい。ゴルフにもさまざまな競技性があることをアピールできる機会になるでしょうし、将来を担う学生たちにもチャンスが与えられる。準備なども現状よりはスムーズになるでしょう。
これからゴルフが五輪競技として発展していくか、いろんな角度からの議論がされるといいですね。選手としてプレーしたかった? そりゃ出てみたかったですよ。もっと僕が若い頃から五輪競技になっていたらよかったのにな。