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1年で脇役からヒール役に…カシメロの次戦はやっぱり井上尚弥?「大揉めしたのにドネア戦の可能性もある」理由 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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posted2021/08/23 11:01

1年で脇役からヒール役に…カシメロの次戦はやっぱり井上尚弥?「大揉めしたのにドネア戦の可能性もある」理由<Number Web> photograph by Getty Images

“軽量級のレジェンド”ギジェルモ・リゴンドーに判定勝ちしたカシメロ。井上尚弥との対戦は実現するか?

 正直、「両方負け」と言いたくなるような中身ではあったが、やりたいことをやったのがどちらかといえば、それはリゴンドーの方だった。五輪2大会連続金メダリストでもあるキューバの拳豪は、もともと“打たせずに打つ”のを美徳とするボクサー。パンチ交換の乏しさで酷評されるのはこれが初めてではない。

“軽量級のレジェンド”も警戒せざるを得なかった

 とはいえ、これほどまでに徹底して「攻撃のための防御」ではなく「防御のための防御」なら、ポイントを随所で失うのは当然か。実はアメリカではリゴンドーの勝ちと見た人の方が多かったようだが、それでも少なくとも前に出続けて試合を作る意図は示したカシメロの手が上がったのは間違いではないように思える。

 前述通り、技術不足を暴露したカシメロの戦い方も褒められたものではなかったが、それでもそのパワーが脅威に感じられていたらしいことは、試合後のリゴンドーのこんな言葉から窺い知れる。

「積極性が足りなかったかもしれないことには気付いている。もっと手数を出せるときがあったのかもしれない。ただ、自分がそうしたくても、相手がそれを許してくれないこともあるんだ」

 パワーレスと思われることが多いリゴンドーだが、左の一発にはカシメロのパンチより上ではないかと思えるほどのパワーを秘めている。それでも完全に空転していたカシメロに対して目立った攻撃を仕掛けなかった背景には、必要以上に攻めたら危ないという懸念があったのだろう。四十路を迎えて衰えたとはいえ、“軽量級のレジェンド”と称される選手にそう警戒させたのだとすれば、カシメロは凡戦の中でも一定の力を示したという見方はできる。

カシメロ・ドネア・井上尚弥「どの組み合わせが早い?」

 ともあれ、こうして曲がりなりにもこの2年の間にゾラニ・テテ(南アフリカ)、リゴンドーという評価の高い2人を下したカシメロの行く手に、さらなるビッグファイトが視界に入ろうとしている。

「3人を倒す計画だ。1人目のリゴンドーはすでに倒した。2人目はドネア、その次がナオヤ・イノウエだ」

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