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勝ち方がすごすぎる…レスリング金メダル須崎優衣(22)が吉田、伊調を超えた“パーフェクト”な記録とは?〈開会式の旗手でも話題〉 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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posted2021/08/10 11:01

勝ち方がすごすぎる…レスリング金メダル須崎優衣(22)が吉田、伊調を超えた“パーフェクト”な記録とは?〈開会式の旗手でも話題〉<Number Web> photograph by JMPA

レスリング女子50kg級にて圧倒的な強さで金メダルを獲得した須崎優衣。

須崎陣営は“対策の立て方”が独特

 須崎陣営の対策の立て方は独特だ。須崎が立てた対策に吉村祥子コーチが立てたものをすり合わせるというやり方を採用している。この日も須崎のセコンドについた吉村コーチは「今日も試合前に優衣から送られてきた決勝でやるべきことと私が書き出した策は、ほぼ一致していた」と打ち明ける。

 その対策とはどんなものだったのか?

「スタートからの手や頭の位置、どういう攻めをするのか。相手の特徴、どういうふうにポイントを取っていくのか。もちろん(勝利に結びついた)アンクルホールドも、その中に入っていました」

 須崎は計算ずくで動いていた。時間が経てば経つほど、この中国代表は須崎の掌に乗せられていた。

 吉村コーチは涙を浮かべながら「本当によく頑張った」と褒めたたえた。

「100点満点をあげたい」

18年には右肘靭帯断裂で全治8週間の大ケガ

 中2から須崎を指導する吉村コーチから見ても非の打ちどころのない闘いぶりだったわけだが、オリンピックの舞台に立つまでの道のりは山あり谷ありだった。

 とりわけ入江ゆきとの代表争いは熾烈を極め、2019年夏のプレーオフで入江に敗れた際には、須崎の東京オリンピック出場は絶望視されていた。失意の須崎に吉村コーチが「0.01%でも可能性があるなら頑張ろう」とやる気を促したのは有名なエピソードだ。

 ケガにも泣かされた。2018年全日本選手権直前に開催された強化合宿で須崎は右肘の靭帯断裂など全治8週間の大ケガを負い、東京オリンピックに向けてスタートダッシュとなる大会を欠場せざるをえなかった。

【次ページ】 「2位の賞状」を部屋に貼っていた理由は…

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