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勝ち方がすごすぎる…レスリング金メダル須崎優衣(22)が吉田、伊調を超えた“パーフェクト”な記録とは?〈開会式の旗手でも話題〉
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byJMPA
posted2021/08/10 11:01
レスリング女子50kg級にて圧倒的な強さで金メダルを獲得した須崎優衣。
敗北やケガだけではない。2019年12月の全日本選手権で入江に勝ち、須崎は翌年早々、東京オリンピック・アジア予選への出場を予定していた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大で開催は延期となり、東京オリンピック開催も1年延期となってしまった。
結局、延期となっていたアジア予選が開催されたのは今年4月になってからだ。開催地は直前になって中国からカザフスタンに変更された。この予選は決勝に進出した時点で東京オリンピックへの出場切符を得られる。そこで決勝に進出した時点で、日本のメディアは須崎の一言を欲しがったが、吉村コーチは「決勝が終わるまで待ってくれ」と取材に応じることはなかった。吉村コーチは須崎が途中で話すことで、集中力が途切れることを危惧していた。
数々のプレッシャーを背負いながら、アジア予選でも須崎は4試合連続テクニカルフォール勝ちという離れ業をやってのけた。大きな試練が襲いかかってくるたびに須崎は乗り越え、ついに東京オリンピックへ。そして念願の金メダルを獲得した。
「2位の賞状」を部屋に貼っていた理由は…
これは奇跡ではない。須崎と吉村コーチ、そしてふたりを支えた女子ナショナルチームの笹山秀雄監督や強化部長ら周囲のスタッフの努力と汗の結晶だろう。試合後、須崎は何度も周囲のスタッフ、応援してくれた人たちに対する感謝を口にした。
「一度は諦めかけた夢の舞台。本当にまわりの人たちのおかげでここまで頑張ることができた。いまの私があるのは支えてくれた人たちのおかげです」