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リオ直前“選手生命危機の大ケガ”から5年、東京五輪で走り高跳び金を分かち合い… イタリア&カタール人のエモすぎ友情物語
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byYohei Osada/AFLO
posted2021/08/06 17:03
タンベーリとバルシムはライバルであり、戦友であった
「ギプスを捨てようなんて思ったことは一度もない。僕の原点だから。(金メダルが確定して)嬉しくて嬉しくて、涙と笑いがごっちゃになってたら、トラックの向こうで(男子100mのラモントマルセル・)ジェイコブスがスタートに立つのが見えた。あらん限りの声を振り絞って、気合い入れろって叫んだよ」(タンベーリ)
その直後、100m走で“大穴”のイタリア人が……
それから十数秒後、時差マイナス7時間のイタリアは14時53分すぎ、男子走高跳と男子100mという五輪花形競技のダブル金メダルにひっくり返った。
吉報を受けた共和国下院議会は審議を一時中断し、英雄2人へ盛大な拍手を送った。世界中のメディアから取材攻勢にあっていた金メダリスト2人は、首相マリオ・ドラギから突然の祝福電話を受け、あたふたと対応した。
選手村でもイタリア選手団はまさかの快挙連発に大騒ぎに。競技の枠を超えてやんやの喝采が飛んだ。選手たち一団は宿舎前の広場へ集うと、往年のヒットナンバー「ボラーレ」を響かせたのだった。
「2021年8月1日の2つの金メダル、覚えてる?!」
地中海の長靴の国に、夏の素晴らしい記憶がまた一つ増えた。イタリア人たちはこの先何年も、何十年も東京の物語を語り継ぐだろう。
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