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「今日はトノサマガエル」ボクシング女子初の金メダル! 20歳・入江聖奈の笑顔と“コメント力”に脱帽 

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byNaoya Sanuki/JMPA

posted2021/08/04 20:00

「今日はトノサマガエル」ボクシング女子初の金メダル! 20歳・入江聖奈の笑顔と“コメント力”に脱帽<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JMPA

ボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した日体大3年生の入江聖奈。会場の雰囲気も味方につけて、頂点まで跳び上がった

 とにかくカエルが大好き。高校時代からカエルを愛してきたと本人は嬉しそうに語る。戦術は本人曰く「強気のツノガエル作戦」。ツノガエルのように強く、相手に圧をかけるという事を意味していた。

 勝負のリングに上がる直前にセコンド陣から背中をポーンと叩かれると、まさにカエルのように跳びあがり、リングへと駆け上がっていく。そして、金メダルを掴んだ時には自分の事を「ツノガエル」ではなく「今日はトノサマガエル」と満面の笑みで気持ちを表現した。

豊富な運動量と巧みなステップ

 初戦からステップワークと手数の多さはお見事だった。左のジャブはキレがあり、スピードもあった。そして何よりも戦況により自分を変化させる応用力があった。セコンド陣や日本チームからの声に反応し、まさに彼女のコメントと同じように作戦変更へのリアクションも速かった。

 準々決勝、準決勝とポイント勝ちを意味するウィンオンポインツ(WP)は3-2と、ともに僅差の内容。銀メダル以上を確定させた準決勝では世界選手権銅メダルのファイター相手に序盤は苦戦し、劣勢を強いられた。しかしセコンド陣から「左に気をつけろ」「上手く動いてステップを意識しろ」という声が飛ぶと、最終ラウンドは豊富な運動量と見事な対応力で、ステップを工夫し、相手の繰り出す左拳を上手く回避した。そして入江は右のカウンター狙いに徹し、見事に粘り勝ちをおさめてみせた。

 準々決勝の後は「日本ボクシングの歴史の扉が5ミリ開いた」。

 準決勝の後にはその扉が「5センチ開いた」。

 入江節炸裂のコメントとともに、会場にいる我々のボルテージは高まっていく。

【次ページ】 世界王者を苦しめた入江のジャブ

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