オリンピックPRESSBACK NUMBER
米国生まれの23歳・五十嵐カノアはなぜ日本国籍を選んだのか「日本在住の“おばあちゃん”の応援も…」《サーフィン銀メダル》
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2021/07/30 17:03
7月27日、決勝戦での五十嵐カノア。見事に銀メダルに輝いた
日本国籍を選んだのはなぜか?
彼と同じく、日本と米国の二重国籍を有していたのが女子テニスの大坂なおみだ。大坂の誕生日は1997年10月16日で五十嵐と同い年。現在の日本の国籍法では二重国籍の場合、22歳に達するまでにいずれかの国籍を選択しなければならず、大坂も22歳の誕生日を迎える前のタイミングで日本国籍選択を表明している。
日本国籍を選んだ理由について五十嵐は、東京五輪開幕直前のタイミングで行なわれた日本代表オンライン会見で、「難しい選択だったということはない」と語っている。
「僕は日本の血を持って、子供の時に日本の旗を振っていた。オリンピックに出る夢はなかったけど、それはサーフィンが種目に入っていなかったから。ただ、オリンピックにサーフィンが入る前から、CT(チャンピオンシップツアー=プロサーフィンの世界最高峰の大会)に日本人がいなかったので、次のジュニアのためにも、日本人がCTにいるだけでもモチベーションになるかなと思っていた」
自身が日本人という立場で活躍することで、日本の若いサーファーたちが世界最高峰の舞台に出ていく道を広げる。五十嵐は元々、そのような光景を望んでおり、「今は日本人のサーフィンのレベルがトップに近づいてきたが、それが僕の子供のころからの夢だった」とも語っている。今回の東京五輪では女子の都筑有夢路も銅メダルを獲得し、着実に夢の実現に歩みを進めている。
そのうえで決め手となったのが東京五輪だ。
「日本代表で日本の旗を振るというのがモチベーションだった。日本の地で日本人として試合をしたいと思っていた」
五十嵐が東京五輪の代表に内定したのは、19年。CTの年間ランキングで上位になり、条件を満たしての出場権獲得だった。