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調整は順調だったのに…バドミントン・桃田賢斗はなぜ敗れたか 世界ランク1位が抱えた“失ったリオの重圧”
posted2021/07/30 17:04
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
勝負に絶対はない。
それでも、その敗戦は衝撃をもたらした。7月28日、バドミントン男子シングルスの桃田賢斗は1次リーグ最終戦で許侊熙(ホ・グァンヒ/韓国)と対戦。15−21、19−21のストレートで敗れ1勝1敗となり、決勝トーナメント進出を逃し敗退が決まった。
世界ランキング1位の桃田に対し、許は世界ランキング38位。過去3度対戦し、桃田が3戦全勝の成績を残している。
ただ、この日は様相がいつもと違っていた。
「まだこの緊張感を味わっていたかったな」
立ち上がりは桃田が攻撃的な姿勢を見せ、リードを奪うが、10−5から10連続失点を喫するなどして第1ゲームを失う。
第2ゲームは後半に入り、リードされているところから5連続得点で17−15と逆転し、流れをつかんだかに見えた。だが再度相手がリズムを取り戻し、このゲームも失って大会を終えた。
「(敗れた瞬間は)ああ、終わってしまったな、と。まだこの緊張感を味わっていたかったなという気持ちでした」
許は強打を積極的に繰り出すなど、攻撃的な姿勢があった。思い切りのよさがあった。とはいえ、本来の桃田であれば、試合の中で対応していけただろう。
「途中から相手の強打に冷静に対応できず、気持ちが弱くなってしまっていたかなと思います」
桃田自身は分析する。
大会へ向けての調整は順調だったという。それでもこの結果をもたらした要因はどこにあったのか。