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オグリにテイオー、ゴールドシップ…人気「ウマ娘」10頭のDNAを受け継ぐ“今年デビュー馬”たちの最新事情を調べてみたら…?
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byTomohiko Hayashi
posted2021/08/13 17:01
武豊を背に、満員の競馬場を歩くオグリキャップ。「ウマ娘」でも人気を集める名馬の子孫たちの活躍は?
ゴルシ産駒は新馬戦を快勝など絶好調!
キタサンブラックの母の父として話題となったサクラバクシンオーは、産駒のショウナンカンプ(高松宮記念)とグランプリボス(NHKマイルカップ)が種牡馬になっていたが、ことしはビッグアーサー(高松宮記念)のこどもたちがデビューしている。福島の新馬戦を勝ったウインモナーク(牡)が中央初勝利馬となり、地方の園田競馬場(兵庫県)にはデビュー戦を大差で逃げきったアンサンという牝馬がいる。4代前の母は「華麗なる一族」の才媛ハギノトップレディ(桜花賞)。オールドファンが泣いてよろこぶ血統だ。
ゴールドシップの芦毛は母の父メジロマックイーンからの遺伝である。マックイーンの父はメジロティターン、祖父はメジロアサマ。授精能力に問題があり、13年の種牡馬生活でたった19頭の産駒(うち芦毛は11頭)しか残せなかったメジロアサマの毛色がゴールドシップに伝えられ、直系ではないが、4代つづけて芦毛の天皇賞馬が誕生したわけだ。
ゴールドシップ産駒はオークス馬ユーバーレーベンをはじめ3頭が重賞に勝っているが、芦毛はまだいない。7月4日に福島の新馬戦を快勝したウインピクシスは芦毛の牝馬。ゴールドシップのファンとしては応援にいっそうの力がはいる。
オールドファンでもウマ娘世代でも変わらないこと
「ヒーローとヒーローが血でつながっているのが競馬の最大の魅力」
血統評論の第一人者、白井透さんのことばである。何十年も馬券を買っているベテランファンの若い日の記憶と、ウマ娘で競馬を知ったファンの“推し馬”が血でつながっている。こんなスポーツはほかにない。
「来年のダービーを予約しておきます」
ダービーの翌週、噂どおりの強さでデビュー戦を楽勝したコマンドライン(牡、父ディープインパクト)のクリストフ・ルメール騎手は言った。2歳馬にはまだディープインパクトとキングカメハメハの産駒はたくさんいるし、ほかにもハーツクライ、ロードカナロアらGⅠで実績のある種牡馬の産駒を中心にして、22年のクラシックも展開していくのは間違いない。
しかし、クラシックまで長い時間がある。血統表から思い入れのある馬の名前――その馬がアニメでもゲームでもなんでもいい――を見つけたら、妄想をめいっぱいにふくらませ、その馬の未来をたのしめるのが2歳競馬である。それはオールドファンもウマ娘世代も変わりがない。