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EURO準優勝イングランドがベストメンバーを組んだら? 指揮官を悩ます充実のタレントで世界の頂点も視野に
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/07/28 17:01
イタリアに敗れEUROで準優勝に終わったものの、多くのタレントが揃うイングランドの未来は明るい
ゴメスが本来の力を発揮すればCB争いは俄然白熱
センターバックではジョー・ゴメスに注目すべきだ。
彼もまたA・アーノルド同様、負傷のためにEURO2020には参加すらできなかった。しかし、スピードでは現在のレギュラーであるジョン・ストーンズ、ハリー・マグワイアをしのぎ、足もとの安定感でも上回っているのではないだろうか。さらに右サイドバックをこなす汎用性も大きな魅力である。
「体調さえ回復すれば、イングランド代表の定位置をつかめる」
リバプールのユルゲン・クロップ監督が太鼓判を押していた。
「必ずや私のプランに再び入る存在」
イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督も復帰を待望していた。
強さと速さを併せ持ち、フィードも正確なゴメスが本来の力を発揮すれば、CB争いも俄然白熱する。ベン・ホワイトやベン・ゴドフレイといった有望株もいる。現時点で一歩も二歩もリードしているストーンズとマグワイアにも、落選の危機がないわけではない。
攻撃陣の充実は過去を振り返っても例を見ない
さらに前線は群雄割拠だ。サウスゲイト監督の信頼が厚いハリー・ケインとラヒーム・スターリングは、重大なアクシデントが起きないかぎり定位置を確保し続ける可能性が高い。しかし、基本陣形が4-3-3だろうが4-2-3-1だろうが、あるいは3-4-2-1を採用しても、首脳陣が選手選考に嬉しい悲鳴をあげるタレントがずらりと揃っている。
ジェイドン・サンチョ、マーカス・ラッシュフォード、ブカヨ・サカ、ジャック・グリーリッシュ、ドミニク・キャルバート・ルーイン、メイソン・マウント、フィル・フォデンといったEURO2020に出場した者に加え、左右両足で正確、かつ豪快なシュートを撃てるメイソン・グリーンウッド、個による打開だけではなく、連係面でも急速の進歩を遂げるハーベイ・バーンズも、サウスゲイト監督のプランに入ってくるはずだ。
これほどのメンバーを揃えたイングランドは……いや、攻撃陣の充実は過去のフットボールを振り返っても例を見ないほどだ。ユナイテッドではエース格のラッシュフォードも、カタール・ワールドカップの最終登録から漏れる危険度が高くなってきた。
ガブリエル・アグボンラホールやフレイザー・キャンベル、ボビー・ザモラなど、プレミアリーグで活躍していない選手を代表に選ばなければならないほど人材が枯渇していた時代が、懐かしい。