「自分の強みは気持ちです。得意なのは登りなのですが、決して能力が優れているから速いわけではないんです。山の登りは、斜面の角度に対して自分の体重を上手く預けることができれば誰でも上手く登れます。どこで差がつくかというと、『しんどい』とか『あとどれくらい続くんだろう』といったネガティブな気持ちに捕らわれてしまうから。『とにかく登るんだ』という気持ちが少しでも途切れてしまうと、それが積み重なって遅れが生じてきます」

　残りの距離を考え過ぎて体力を温存しすぎたり、気持ちが消極的になったりすると、それが少しずつタイムに影響してしまう。だからこそ、目の前の一歩一歩に集中する。

　そんな強いメンタリティを持つ秋山が、なぜこの春から山岳遭難救助隊に入ったのか。後編では、その仕事内容と女性隊員ならではの難しさについて語ってもらった。

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