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「もう一度、這い上がる」“飯伏の代打”でも、棚橋弘至がドームIWGP戦で見せた“驚異の復活劇” 対戦した鷹木も「さすがはエース」
posted2021/07/28 11:02
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
どこか遠いところに行ってしまったと思われていたIWGPが、棚橋弘至を呼んでいた――。
棚橋は2日連続でシングルマッチを戦っていた。しかも、2日目は急遽決まった東京ドームのメインイベントでIWGP世界ヘビー級王座への挑戦だった。
7月25日の東京ドーム。本来、予定されていた5試合に棚橋の名前は存在しなかった。もともとスケジュールされていたメインイベントは、IWGP世界ヘビー級戦で、王者鷹木信悟vs.飯伏幸太。ところが、飯伏が体調を崩してしまったのだ。飯伏は肺の疾患で、前日24日の名古屋大会まで欠場を続けていた。
新日本プロレスにとっては挑戦者不在の緊急事態。そしてまたしても「IWGP世界」に不測の事態が発生した。そこで挑戦者の名乗りを上げたのが棚橋だった。棚橋は予期せず、IWGP挑戦に急接近することになった。
「棚橋弘至。あんた、やっぱすげえよ」
「棚橋。棚橋弘至。あんた、やっぱすげえよ。さすがはエース。ある意味、本当の勝者はあんたかもな」
37分26秒の熱戦を制して初防衛に成功した鷹木はそう言った。
筆者は7月22日、大阪大会の1日目の6人タッグマッチを見て「棚橋、いい感じだな」とは思っていたが、正直、棚橋がここまでやれるとは思っていなかった。大阪から名古屋と続いた試合で棚橋は好調さをアピールして、代名詞のハイフライフローも繰り出した。名古屋ではKENTAとのシングルマッチに勝利して「準備」ができていることを強調した。
東京ドームという、棚橋にとっては特別な場所が、さらなるエネルギーを彼に供給したのかも知れない。