「この投手を見ていて、いつも感心するのが、150キロ投げられるのに、その150キロをひけらかそうとしたり、相手を威圧するような使い方をしないところ。7、8割の力感で140キロ台前半を基調にして、カットやスプリットでタイミングを外しにくる。で、ここは本気で！って場面で、150キロ繰り出して抑え込んでるでしょ。自分の持ち球の使い方を知ってますよ」

「栗林（広島）と比べてどう？」

　昨年の都市対抗野球でのトラックマン計測で、コンスタントに2400回転台をマーク。NPBの平均が2300回転前後といわれる中で、スピード以上に打者に対する破壊力を秘める廣畑の速球。

　この日は140キロ前後がほとんどだったが、聞けば実際のスピードより4、5キロ小さい表示が出るという「ほっともっとフィールド神戸」のスピードガン。打者の「体感スピード」はひとしおだったはずだ。

「栗林（広島）と比べてどう？ってよく訊かれますけど、今日みたいな天候でもイヤ気を見せず、丁寧に、内側で燃えながら投げられるっていう点は共通項かもしれないけど、厳しい目で見ていけば、まだまだですよ。まず、変化球。栗林にはカットがあって、カーブもあって、勝負球のフォークがあって、すべての球種を自信を持って投げてましたよね。今日の廣畑見ても、自信持って投げてたのカットボールぐらいじゃないですか。何か絶対的な武器があったら、今日の試合、完封勝ちですよ。追い込むところまでは一級品……プロとしては、そのあとに投げるボールがほしい」

　一方で、こんな声も聞こえてきた。

「ピンチを切り抜けてベンチに戻る時の表情がすごくいい。強い思いを込めて投げてるんだなぁって思います。もしかしたら、ちょっと変わり者なのかもしれないけど、独特の自分だけのワールドを持っている。去年の伊藤大海（苫小牧駒澤大→日本ハム）がこういう内面持ってましたね。なんだか、見ていて、これがピッチャーだなぁ……って、思ってしまいますね」

【投手編2】「ふてぶてしさが魅力」川瀬航作（日本製鉄広畑・24歳）

　JFE西日本を完封した川瀬航作（日本製鉄広畑・24歳・182cm87kg・右右・京都学園大）が、再び評価を上げたようだ。

　入社2年目の昨年もドラフト候補に上げられていたサイドハンド。JFE西日本相手にシングルヒット5本の1四球に抑える危なげない投球を見せてくれた。

「プレートの三塁側を踏んで、ちょいインステップから角度をつけて投げてくる。サイドハンドは左バッターがどうなんだろうな……と思って見るんですけど、ものすごく打ちにくそうにしてました」

　確かに、JFE西日本打線の4人の左打者を1安打に封じてみせた。

「スライダーにツーシーム、ベースの両サイドに変化球があるし、マウンドで堂々と投げていて、僕はいいと思うんですけど……」

　けど……？

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