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「腕が折れようが、何しようが…」北京金メダルから4717日、上野由岐子“38歳ラスト”の熱投 13年越し連覇へ宇津木監督の戦略とは
posted2021/07/21 19:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoya Sanuki,Masaki Fujioka/JMPA
雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回はソフトボール五輪代表の上野由岐子らにまつわる3つの言葉です。
<名言1>
413球投げられたのも、オリンピックだから。
(上野由岐子/Number719号 2008年12月25日発売)
◇解説◇
2008年の北京五輪で主役となったのは上野だった。ソフトボール日本代表の絶対エースとして2日にわたって行われた3試合すべてを完投。計413球を投げきり、無尽蔵のスタミナと精神力で日本中を驚かせた。
「腕が折れようが、何しようが、この場所だけは譲れない」
その思いで決勝戦のマウンドに立っていたという。この強い気持ちが金メダルとして結実したのである。ただし、本人は大会後、このようにも話していた。
「あれをもう一度やれって言われたら無理だと思います」
こちらは、2017年の発言だ。
「“日々全力”ってくらいに必死です。だんだん身体のキレもなくなるし、試合前にアップしてても重たいなって感じますから。前みたいに手を抜く余裕がなくなってる」
当時からソフトボール競技が復活する東京五輪に向けて着々と準備を進めていたが、新型コロナウイルス禍による1年延期というまさかの事態が襲った。年齢を積み重ねたことでコンディショニング管理が非常に難しくなっていることは容易に想像できるが、2021年7月21日、自らの39歳誕生日を翌日に控えた東京五輪開幕戦の先発マウンドに上野は立った。