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全英オープン優勝コリン・モリカワ(24)はなぜタイガー・ウッズを超えられた? 英国リンクスを制した「技術」と「勇気」【東京五輪も出場】 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2021/07/20 06:00

全英オープン優勝コリン・モリカワ(24)はなぜタイガー・ウッズを超えられた? 英国リンクスを制した「技術」と「勇気」【東京五輪も出場】<Number Web> photograph by Getty Images

全米プロに続き、全英オープンでも「初出場メジャー優勝」を達成したコリン・モリカワ

 1つ躓けば、ガラガラと崩れていく。初日から首位を走り続け、独走逃げ切りも予想されていたウエストヘーゼンだって、最終日はボギーを1つ叩いたら、2つ目のボギーを叩き、あれほど安定していたティショットが乱れ始め、優勝争いから脱落していった。

 かつてのメイドンのような目に見える極端なハザード(障害物)は今のロイヤル・セントジョージズにはないものの、選手層の厚みが格段に増している現代のほうが、周囲から受けるプレッシャーのごとき目に見えない難しさは格段に増している。

 その難しさを乗り越えるためには、誰よりも優れた技術力と誰よりも強靭な精神力が求められる。

 モリカワには、それがあった。誰よりも優れたアイアンショットと誰よりも冷静で、誰よりも忍耐強い精神力を誇っていた。それがあったからこそ、全英オープンの出場回数や優勝経験は意味をなさず、初めての全英オープン挑戦で、彼は勝利を掴み取ることができたのだ。

モリカワが見せた眩しい笑顔

「英国のギャラリーはグッドショットの意味を知っていて声援を送ってくれた。米国のファンは早起きしてテレビ観戦してエールを送ってくれた。みなさんのおかげで勝つことができた。みんな本当にありがとう。何かを成し得るときは、それをこよなく愛するときだ。ここで戦ったことも、今この瞬間も、僕は心の底から愛している。僕の人生で最高の瞬間だ」

 優勝トロフィーのクラレットジャグを掲げたモリカワの笑顔は、最高の光を放ち、誰よりも眩しく輝いていた。

 いい全英オープンだった――世界のゴルフファンが、そう感じた瞬間だったのではないだろうか。

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