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8月に38歳…“王さんとノムさんに次ぐ本塁打王6回”の中村剛也 「アーチスト名人技」復調と狙ってほしい2000安打〈週刊セパ記録〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/07/18 11:02
大谷翔平や佐藤輝明の活躍でホームランに注目が集まっているが、21世紀屈指の長距離砲・中村剛也の異能も称えたい
<現役打者の本塁打数ランキング>
1中村剛也(西)433
2バレンティン(ソ)301
3松田宣浩(ソ)297
4福留孝介(中)283
5中田翔(日)261
6坂本勇人(巨)253
7山田哲人(ヤ)239
8浅村栄斗(楽)222
9丸佳浩(巨)211
10柳田悠岐(ソ)208
2位のソフトバンク、バレンティンに130本以上の差をつけて中村が現役1位。歴代でも16位、あと4本で秋山幸二、11本で長嶋茂雄に並ぶ。
本塁打王6回は王、野村に次ぐ史上3位の偉業
中村は本塁打王6回、これは王貞治の15回、野村克也の9回に次ぐ史上3位。打点王4回は、王貞治の13回、野村克也の7回、藤村富美男、長嶋茂雄、落合博満の5回に続いて史上6位の偉大な実績を残している。
2015年に6回目の本塁打王、3回目の打点王に輝いたのを最後に、中村の打撃は下降線をたどった。30本に届かないシーズンが3シーズン続き、この間にチームの主砲の座も山川穂高に譲ったかと思われた。
しかし2019年、中村は4年ぶりに30本の大台をマークするとともにキャリア2番目の123打点をマークして4回目の打点王に輝いた。
スロースターターながら三塁を39試合も守っている
最近の中村はスロースターターの印象が強い。今季も3,4月は打率.250、2本塁打と控えめな成績。5月、6月と2割台の打率だったが、7月に来て打率.371、9試合で7打点と調子を上げてきた。
本塁打はまだ9本だが、通算13回目の2けた本塁打は確実だろう。今季は初球を打った安打が9本、このうち本塁打が2本。相手投手の癖や球筋を見抜いて、一発で仕留める「名人技」が目立っている。
アラフォーの大ベテランなのだから、指名打者一本で行けばいいと思ってしまうが、中村は今季も39試合で三塁を守っている。守備に就く方が攻撃のリズムが良くなるのかもしれないし、チームを鼓舞することもできるのではないか。