酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平の“奇跡ぶり”が分かる「MLBオールスターとの成績比較」 ゲレーロやタティスら“Jr勢”、デグロムやダルビッシュも凄いが…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byMatt Dirksen/Colorado Rockies/Getty Images
posted2021/07/15 17:04
大谷翔平のホームランダービーを労うゲレーロJr.とタティスJr.。彼ら新世代のスター候補にも注目したい
それを踏まえると、大谷はボガーツや間もなく30歳になるマイク・トラウトなどと同じ「中堅どころ」というポジションだと考えるべきだ。打者・大谷の競争相手は若くて相当手ごわいとみるべきだろう。
実は「投手」としてもスゴい数値が
ただ大谷翔平はそれだけではない。「投手」でもあるのだ。「FanGraphs」による投手のWARはどうなっているか?
1 J.デグロム(メッツ)WAR4.8
15試7勝2敗92回 率1.08
2 Z.ウィーラー(フィリーズ)WAR4.5
18試6勝5敗119.2回 率2.26
3 C.バーンズ(ブルワーズ)WAR4.2
15試4勝4敗87.2回 率2.36
4 C.ロドン(ホワイトソックス)WAR3.6
15試7勝3敗89.2回 率2.31
5 K.ガウスマン(ジャイアンツ)WAR3.4
18試9勝3敗114.2回 率1.73
12 ダルビッシュ有(パドレス)WAR2.6
18試7勝3敗105回 率3.09
61 大谷翔平(エンゼルス)WAR1.5
13試4勝1敗67回 率3.49
今季はメッツのデグロムが歴史的な好投を見せている。WARも抜群でナ・リーグのサイ・ヤング賞の本命だ。ア・リーグはロドン、続いてレッドソックスのイオバルディ(WAR3.4/6位)が有力だと思われる。
ダルビッシュは12位、ナ・リーグでは9位だから、昨年ほどではないにせよトップクラスだ。
WARは積み上げ型の指標なので、投球回数が少ない大谷は61位になる。それでも昨年のナ・リーグのサイ・ヤング賞、トレバー・バウアー(WAR1.5/56位)と同じレベルだから、これはこれですごいことである。同じくオールスターに選出されたマリナーズの菊池雄星がWAR1.0で98位なのだから。
WARは投手、打者の区別なく、すべての選手を同一の指標で評価できる基準だとされる。大谷翔平がMVP候補と言われるのは「打者4.0+投手1.5=5.5」で、投打を通じてダントツだからだ。
確かに奇跡のようなものである
それにしてもWARを考案したアナリストは、こんな選手が出てくるとは思っても見なかっただろう。