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「二刀流をファンも見たい、そして個人的にも見たい」 大谷翔平の「DH・投手」特例を実現させた"2人の策士"《MLBオールスター》
posted2021/07/16 11:04
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
まさに「大谷一色」のオールスターだった。
最多得票のブラディミール・ゲレーロJr.、ナ・リーグ最多本塁打のフェルナンド・タティスJr.ら若きスター選手が目白押しでも、スポットライトの中心には、史上初となるDHと投手の「二刀流」で選出された大谷がいた。
8選手がエントリーする球宴前日のホームランダービーに、真っ先に出場表明した時点で、大谷への注目度は格段に上昇していた。さらに6月27日からは3試合連続を含む5戦6本塁打と量産ペースに突入。最終的に両リーグトップの33本塁打まで伸ばして、オールスターの開催地デンバーへ乗り込んできた。投手がホームランダービーに出場するだけでも異例だが、その一方で、投手としても登板するのか。球宴での起用法にも注目が集まっていた。
オールスターの前日、先発メンバーを発表する公式記者会見の壇上には、ナ・リーグで4回目の先発投手を務めるマックス・シャーザー(ナショナルズ)らと並んで、大谷の姿があった。
つまり、ア・リーグの先発は大谷だった。
皆が見たいならルールを変える
ナ・リーグの指揮を執るデーブ・ロバーツ監督(ドジャース)のスタメン発表に続き、ア・リーグのケビン・キャッシュ監督(レイズ)は、真っ先に「1番DH大谷」の名前を読み上げた。その瞬間、会場内が少しざわついた。野球規則上、先発するのであれば、本来は「投手・大谷」でなくてはならない。だが、スタメンのボードには「DH大谷」と、明確に記されていた。
DHを解除して投手として交代してしまえば、1打席しか立てない。それではファンも納得しない。その結果、編み出されたのが、DHのまま登板するという、裏技だった。
キャッシュ監督は、横に座る大谷を見つめながら、嬉しそうに言った。