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大谷翔平の“奇跡ぶり”が分かる「MLBオールスターとの成績比較」 ゲレーロやタティスら“Jr勢”、デグロムやダルビッシュも凄いが… 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byMatt Dirksen/Colorado Rockies/Getty Images

posted2021/07/15 17:04

大谷翔平の“奇跡ぶり”が分かる「MLBオールスターとの成績比較」 ゲレーロやタティスら“Jr勢”、デグロムやダルビッシュも凄いが…<Number Web> photograph by Matt Dirksen/Colorado Rockies/Getty Images

大谷翔平のホームランダービーを労うゲレーロJr.とタティスJr.。彼ら新世代のスター候補にも注目したい

1 V.ゲレーロJr.(ブルージェイズ)一塁手、三塁手WAR4.6
87試28本73打点2盗塁 率.332
2 R.アクーニャJr.(ブレーブス)外野手WAR4.4
82試24本52打点17盗塁 率.283
3 F.タティスJr.(パドレス)遊撃手WAR4.0
74試28本60打点20盗塁 率.286
4 大谷翔平(エンゼルス)DH、投手WAR4.0
87試33本70打点12盗塁 率.279

5 X.ボガーツ(レッドソックス)遊撃手WAR3.9
85試15本51打点5盗塁 率.321

ゲレーロ、アクーニャ、タティスの“Jr勢”の経歴

 目につくのはJr.(ジュニア)という名称だ。

 ブラディミール・ゲレーロJr.はカナダ生まれ。父のブラディミール・ゲレーロは殿堂入りした外野手。エンゼルスで大活躍したから、大谷翔平の先輩にあたる。イチローとは同じア・リーグ西地区で競ったライバルだ。オールスターのホームランダービーで素手でバットを握って、すごい当たりを連発したのを覚えている。

 息子は内野手。父親よりやや背が低く、体重が重い。2015年にブルージェイズに入団し、2019年にメジャーデビュー。長打が目立っていたが、今季は打率も急上昇。本塁打こそ大谷に5本差をつけられているが、三冠王の可能性がある。

 ロベルト・アクーニャJr.の父はマイナーリーガー。息子はベネズエラ出身で、2014年にブレーブスに入団。身体能力抜群で、走攻守揃った外野手。2018年に新人王に輝いた。

 このオフの日米野球で来日。筆者は2試合見たが、当時まだ20歳。今年のホームランダービーで大谷翔平を下したナショナルズのフアン・ソトと楽しそうにじゃれ合っていたのが印象的だった。翌年には41本塁打101打点37盗塁とものすごい成績を上げて、トッププレイヤーの1人になった。今季もOPS.990と絶好調だったが、7月10日の試合で前十字靭帯断裂の大けがを負って後半戦は絶望的になった。

 フェルナンド・タティスJr.はドミニカ共和国出身。父フェルナンド・タティスはカージナルス、エクスポズなどで活躍した内野手。99年には34本塁打107打点を記録している。息子は2015年にホワイトソックスに入団し、2019年にパドレスでメジャーデビュー。2020年にはパドレスの4試合連続満塁ホームランというものすごい記録に絡んだ。今季開幕前に史上最大の14年総額3億4000万ドルという超大型契約をパドレスと結んでいる。

 この3人に共通しているのは、アメリカ国籍ではないこと(ゲレーロJr.はカナダとドミニカ共和国の二重国籍)、16歳前後でドラフトではなくアマチュアFAで入団し、マイナーリーグを駆け上がってあっという間にスターダムに上り詰めたこと。そしてアクーニャJr.は23歳、ゲレーロJr.とタティスJr.は22歳と3人とも27歳の大谷翔平よりずっと若いことだ。

 5位のザンダー・ボガーツはオランダ自治領出身で打撃のベストナインであるシルバースラッガー2回、オールスター3回、レッドソックスの生え抜きスター。28歳だ。

ああ見えて大谷、実は“中堅どころ”?

 日本のファンは大谷翔平はMLBのヤングリーダーになったと思っているかもしれないが、実際は彼よりも若く、ずば抜けた才能が毎年のようにいろんなルートで現れて台頭している。

【次ページ】 実は「投手」としてもスゴい数値が

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