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悔しい「二刀流」…捕手と一塁併用でキャリアハイの打撃成績でも、カープ坂倉将吾が目指すはあくまで「捕手一本」

posted2021/07/14 11:02

 
悔しい「二刀流」…捕手と一塁併用でキャリアハイの打撃成績でも、カープ坂倉将吾が目指すはあくまで「捕手一本」<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

先発マスクを被った4月3日のDeNA戦では、今季1号満塁本塁打を放った

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 日本が生んだ「二刀流」が全米を驚愕させている今年、広島では捕手と一塁の「二刀流」がじわじわと存在感を増している。若返る打線の中で、中軸にどっしりと座るその選手は坂倉将吾だ。

 一時は最下位に沈み、前半戦から世代交代を推し進める広島で、6月9日からスタメン出場を続ける。ポジションは指名打者、捕手、一塁。交流戦明けは捕手と一塁でのスタメンが続く。6月22日からは5番に固定された。打率.309、3本塁打、22打点。OPS.798は中軸1年目としては合格点だろう(7月12日時点・データは以下同様)。安打数と本塁打数はすでに昨季のキャリアハイに並び、前半戦だけで昨年の自己最多打席数を超える勢いだ。

 試合に多く出場できることは、選手にとってこの上ない喜びであろう。ただ、捕手としての現状には、坂倉は奥歯を噛みしめざるをえない。正捕手の会沢翼が戦列を離れる中、絶対的な1番手捕手となりきれないからだ。

 昨年は会沢の60試合に次ぐ47試合で先発マスクを被った。今季も会沢に次ぐ2番手捕手と期待され、開幕から森下暢仁、九里亜蓮という先発の柱とバッテリーを組むなど、首脳陣の期待も高かった。

捕手一本で起用されない悔しさ

 だが、5月に会沢が下半身のコンディション不良で戦列を離れた間、坂倉の先発マスクの数は増えなかった。今年一軍デビューし、首脳陣から守備能力を高く評価される石原貴規に先発を譲った。経験がものをいう捕手というポジションで、自分よりも経験の浅い同世代捕手の台頭に危機感が募る。

 さらに、坂倉がスタメンマスクを被った試合終盤、僅差の場面で石原が“抑え捕手”に起用されることもあった。長いイニングを守り抜く負担を軽減する意図があるにせよ、代えられる立場としては忸怩たる思いがあっただろう。

 捕手と一塁の「二刀流」といえば聞こえはいいが、実質は捕手として立場を確立できなかったともいえる。

 当然、悔しさはある。自分自身に対する怒りもある。ただ、「どこかで受け入れてしまっている自分がいる」とも言った。捕手としての現在地を冷静に見つめ、課題や修正点と向き合っているからこそ、受け入れるしかなかった。

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