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【新馬戦】アーモンドアイのような“特別な走り”? 2歳馬・ダノンスコーピオンに期待がかかる“偉業”とは
posted2021/07/09 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Sankei Shinbun
昨年12月26日のホープフルステークスをダノンザキッド(牡3歳、父ジャスタウェイ、栗東・安田隆行厩舎)で制した川田将雅の目には涙があった。
「何より先生に迷惑ばかりかけてきましたので……」
と、勝利騎手インタビューで言葉を詰まらせた川田は、2016年にマカヒキでダービーを制して史上8人目のクラシック完全制覇を達成するなど、一流騎手としての地位を確たるものにしている。しかし、意外にも、このホープフルステークスが、デビュー時に所属した「師匠」である安田隆行調教師の管理馬でのGI初勝利だったのだ。
期待された皐月賞で15着に惨敗
川田にとって、自身のJRA・GI15勝目は特別な一勝になったと同時に、ダノンザキッドという馬は、特別な馬になったに違いない。
最優秀2歳牡馬に選出されたダノンザキッドには、当然、今年のクラシック制覇が期待された。ロードカナロアやトランセンド、カレンチャンなど数々の名馬でGIを勝ってきた安田調教師も、クラシックは未勝利なだけに、余計に期待は高まった。
しかし、ダノンザキッドは、圧倒的1番人気に支持された年明け初戦の弥生賞ディープインパクト記念で3着に敗れると、つづく皐月賞では15着に惨敗。その後、右橈骨粗面剥離骨折が判明し、日本ダービーを回避することになった。
「安田・川田」師弟によるクラシック制覇へのチャレンジは先延ばしになった。24年春に定年を迎える安田調教師にとって、クラシックに臨むことのできる管理馬はあと2世代。限られた時間でダノンザキッド級の馬と出会うのは難しいのか――と思っていたら、早くも来春が楽しみになる逸材が現れた。
6月20日に阪神芝1600mで行われた2歳新馬戦を勝ったダノンスコーピオン(牡、父ロードカナロア、栗東・安田隆行厩舎)である。