「これが朝青龍だともっと騒がれていた」

編集部　あの……。先ほど朝青龍サッカー問題の話が出ましたが、僕ら含めて相撲界をよく知らずにニュースを受け取る第三者としては、当時は、実はどこか笑える要素も結構あったんですよね。当時、ワイドショーでも毎日、ワイワイとやっていたじゃないですか。でも、この朝乃山の件を始め――もちろんコロナがあったとしても――どんな形の不祥事だとしても、どこか笑えなくなってしまっているんです。笑ってはいけない雰囲気が、今の世の中にはすごくあると思うんですね。いろいろなメディア、もちろん週刊誌もウェブ媒体も含めて「笑えない空気感」に向けてのニュースを出して行くから、さらに笑えなくなって行く。そういう負のサイクルに、今は入って来てるような気もするんです。なんだか「ちょっと息苦しいな」と、僕らメディア側にいる人間でも、感じてしまっています。

能町　なるほど……。言ってみれば、大相撲って、なぜか他の世界以上に叩かれやすい印象を受けます。特に今はコロナでみんなピリピリしていて、何かしらを叩いて楽しむことがウケちゃう風潮もあると思うんですよ。でも、朝乃山のこの件に関しては、「世間的には、そもそも叩かれてもいないのではないか？」とも思えるんですね。よくも悪くも、朝乃山自体のバリューが「”あまり””まだ”なかった」のではないか、と。これが朝青龍だと、もっと騒がれているはずですよ。 実は、そこも私は哀しいのですけれどね。

一同　なるほど。

能町　たとえば、もっと朝乃山がふてぶてしくて相撲も荒っぽくて、大関という地位にふんぞり返っていたら、「アイツがやらかしたぞ！」と、もっと騒がれるだろうし。でも、朝乃山ってまだそこまでではない。だから大相撲ファンの私としては「6場所ってちょっと重すぎるよ！」と思えてしまったところもあるんですね。今回の件は、「世間的にも小規模な騒ぎなのに、罰が大きいな」と。たとえばこれが白鵬だったら、とんでもないことになったと思うんです。それこそ「引退だ！」と騒がれるだろうし。

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