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“成功者”大谷翔平が27歳に 本人の言葉から読み解く「なぜ大谷翔平はこんなに絶好調なのか?」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2021/07/05 06:00
本日7月5日は大谷翔平の27回目の誕生日。世界最高の選手に向けて、絶好調で今シーズンを駆け抜けている
先人の記録に肩を並べ、更新することはそのこと自体が快挙であり、大谷に与えられた最高の勲章だ。だが、その一方で先人が残した偉大な足跡を現代のファンへ再び知らせることにも大きな意味がある。
今の時代、ベーブ・ルースのプレーをその目で見たファンはほとんどいないだろう。文字や言葉でしかルースの偉大さをイメージ出来ないファンばかりの中で、投打にわたる大谷のプレーから100年近く前のルースの凄みがイメージできる。今、大谷が『野球の神様』に再びスポットライトを当てている意味はとてつもなく大きい。米球界への最大の貢献と言える。
ヤンキースタジアムで“やらかしてしまった”背景
早いものでシーズンも折り返し地点を迎えた。長いシーズンであれば、一流選手でも多かれ少なかれ調子の波があるのは当然だ。しかし、今季の大谷の安定感は他の追随を許さない。6月30日のヤンキースタジアム初先発では2/3回を5四死球、7失点と“やらかしてしまった”が、こんな背景があったことも覚えておいて欲しい。
この試合は渡米後、24試合目のマウンドだった。過去23試合は西地区が22試合、中地区が1試合。その中で彼は試合後、こんな言葉を残した。
「毎回同じような感じで投げられるわけではないんですけど、それをなるべく近づけていくのが理想。今日は上体がちょっと突っ込み気味で、その分引っ掛け気味になり、(マウンドの)傾斜に対応する前にああなってしまった」
投手として、東地区の球場は初めてだった。ヤンキースタジアムを含め東地区のマウンドは一般的に他地区よりも傾斜がきつく、粘土質の土もより硬い傾向にある。想像以上に初体験のマウンドはタフな環境だった。
ドジャース、ヤンキースで日本人2位の通算79勝をあげた黒田博樹氏も「メジャーは各球場でマウンドの特徴が違う。ひととおり経験しないと本当の適応は難しい」と話していた。投手として、階段を昇っていくには、打者とは違う部分もある。ルースの再来と呼ばれる大谷であっても、成長過程のマウンドとなった。
打者・大谷が明かす「比較的いい」時の条件
その一方で打撃はすでに完成品だ。今季は春キャンプから一貫してフォームにブレがない。迷いがない。