月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
もはや“同時代に生きているだけで自慢”の大谷翔平…次の“推し”は「今のあやうさ」を見ておきたいあの選手
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byGetty Images
posted2021/07/04 17:01
6月29日に行われたニューヨークでのヤンキース戦、大谷は2打席連続HRでリーグ単独トップに浮上。ヤンキースファンも喝采を送った
さて、大谷翔平が日本ハムに入団した頃、才能が豊かすぎる大谷に対してマスコミも評論家も「投手と打者、どちらにしぼるべきか」と論争が起きていた。一体どちらがいいのだろうと野球ファンならそれぞれ考えていたのではないか。
そんな当時、アイドルを応援する気持ちについて「今しか見れない姿を応援する」とアイドルファンから聞いてなるほどと思ったことがある。NHK朝ドラで「あまちゃん」が人気だった頃だと思う。
「今しか見れない姿を応援する」というアイドル理論を応用するなら、二刀流チャレンジという、おそらく「今しか見れない」大谷翔平を見ておくべきなのではないか?と気づいたのだ。
私は「儚い大谷を今のうちに見ておこう」と決め、各地の球場に通ったのであった。この過程を経て大谷は“大人”になってゆくのだと。
それがどうだ。
大谷翔平は今も二刀流をやっているではないか! しかもメジャーリーグで! しかもホームラン王争い。
なんという現実なのだろう。スポーツ紙もニュースも全部見てしまう。当然です。
大谷の次に見守りたくなる存在
大谷翔平については「大きくなったなぁ」と近所のおじさんみたいに感じています。もう私の手から卒業したと勝手に思っています。
そんな私が、今しか見れない姿をしっかり見ておこうと決めているのが佐々木朗希です。千葉ロッテの。
佐々木朗希がえげつない技術と肉体を得る前に、本当の意味で「令和の怪物」になる前に、今のあやうさや儚さを見ておくのは同時代に生きる者の特権ではないでしょうか。
以上、6月のスポーツ新聞時評でした。