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【球宴ファン投票1位】オリックス宮城大弥が愛される理由とは? SNS担当も知らなかった“五厘刈り”、ドラ1山下舜平大が見た”先輩”としての顔
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2021/06/29 11:02
27日西武戦で今季8勝目を挙げた宮城大弥(中央)。伏見寅威(左)と吉田正尚は少し髪が伸びてきた頭に手を置いてポーズ
京セラドームのライトが宮城の頭に反射すると神々しく見え、先輩たちがありがたそうに宮城に手を合わせて拝む姿が恒例になった。
6月27日には宮城の丸刈りのイラストがプリントされた「神様、仏様、宮城様」グッズが発売され、即日完売したものもある。
周りの選手・スタッフ、ファン、誰からも愛される理由を、仁藤さんは、「ずっと純粋なまま、変わらないからじゃないですかね。見たまんまじゃないですか」と語る。
いつもニコニコ朗らかで謙虚な、純朴を絵に描いたような好青年。とつとつと話しながら、時々ボソリと面白いことを言う。
しかし“可愛い”だけが愛される理由ではない。マウンドに上がると一転、初々しさとは無縁の、ベテランのようなピッチングを見せる。抜群のコントロールと緩急を駆使し、並みいる強打者を手玉に取っていく。そのギャップが、見る者を惹きつける。
防御率は山本由伸に次ぐリーグ2位
そうした宮城の好投と人柄が、チームに明るさをもたらしていることは間違いない。
オリックスは交流戦終盤、6連勝で交流戦優勝を果たすと、レギュラーシーズン再開後も連勝を伸ばし、6月21日にパ・リーグの単独首位に立った。そして6月23日には、連勝を、阪急時代の1984年以来37年ぶりの11に伸ばした。
その後、連敗したが、6月27日の西武戦で先発した宮城が、珍しく4四死球を与えながらも5回を3安打無失点に抑えて連敗を止め、リーグ単独トップとなる8勝目を挙げた。宮城がチームの連敗を止めたのは今季3度目。チームを首位にとどまらせた。8勝1敗と抜群の勝率を誇り、防御率も1.93で、山本由伸に次ぐ2位につけている。
まだ19歳だが、宮城は調子の波が少なく、なおかつ調子が悪い日でも崩れず踏みとどまれる。その安定感は、芯を持っているからこそだ。ふんわりしているようで、宮城はしっかりと“自分”を持っている。