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「豊島? 強いよね」にカツラ芸… 将棋界のエンターテイナー佐藤紳哉は若い頃"アイドル棋士"だった?~中村太地と対談~ 

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中村太地

中村太地Taichi Nakamura

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photograph byTomosuke Imai

posted2021/06/29 11:05

「豊島? 強いよね」にカツラ芸… 将棋界のエンターテイナー佐藤紳哉は若い頃”アイドル棋士”だった?~中村太地と対談~<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

佐藤紳哉七段と中村太地七段に現在の将棋界について対談してもらった※撮影時のみマスクを外しました

紳哉 ああ、2005年の勝率1位になった時は、まだ太地先生が四段になってない頃でした。

中村 そうですね。奨励会員はプロ棋士の将棋を勉強しますので、紳哉先生の将棋も見てました。今も昔もというか、すごく時間を使って、突き詰めて考えるタイプの棋士ですから。非常に勉強になる将棋という印象はありますね。

紳哉 太地先生はね、悪いことは言わないで、ホントにうまいですよね(笑)。少しでもいいところを拾ってくれて。

太地先生が小4の時に、初めて出会っていた?

中村 いやいや……1つ思い出したんですけど。紳哉先生と最初にお会いしたのは、僕が小学校4年生の時だったんですよ。

紳哉 え、そうだっけ?

中村 紳哉先生は忘れているかもしれませんが、NHKで放映されている正月のお好み対局でのことです。女流棋士と小学校の子がペアで組んで、ペアでトーナメントをする対局がありました。4チームの中の1人に僕を選んでいただきまして。たぶん新四段の時だったんですかね、その場に紳哉先生がいまして。

紳哉 え、そうだったっけ? たぶん僕、その頃にちょうどNHK杯で記録係やっていたので、それで呼ばれたのかな。確か、お正月だから僕も着物を着せてもらって、なぜか真っ赤ですごく目立つ感じでした(笑)。出ていたのは覚えていたんですけど。太地先生がいたとは、まさか思わなかった。

中村 写真があるので、ぜひ見てください。

紳哉 あ、ホントだ。我ながら若い……。

中村 そこに金井恒太六段も出ていたりしたんですよね。将棋界では気づいたら、長い間の付き合いになっていることが多いですね。

紳哉 みんな、子供の頃から活躍していますからね。そのような子たちが大会に出ると、審判としてプロ棋士が同席しますからね。ただそれが数年経つと、審判だった棋士が、当時の子供にコテンパンにやられるみたいなのも典型的なパターンで(笑)。

中村 初対局の際には「ああ、この先生と対局できるところまで来れた」という感慨はありましたね。そう言えば紳哉先生、確かその頃は「歌って踊れる棋士を目指す」とおっしゃってました。

紳哉 そうなんですよ! そういうキャッチフレーズというか。実際は歌えないし踊れないけど……結構ルックスにも自信があったし、髪の毛もサラサラだったので(笑)。アイドル的な立ち位置だったんです。

2019年の竜王戦昇級者決定戦でも対戦した

――そんなお2人ですが、2019年には竜王戦の昇級者決定戦で対戦されていますね。

紳哉 そうですね。これに勝つと二組に昇級する一番で、非常に大きな対局でした。なので気合いを入れて臨んだ記憶があるんですけど。見事、太地先生に跳ね返されたというか、ひねられました。それが強く記憶に残っています。

第2回に続く。関連記事からもご覧になれます>

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