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元讃岐の守護神で元FC東京広報、家木大輔はなぜポルシェに転職した? 恩師・北野誠監督の言葉と、石川直宏がつないだ縁
posted2021/06/29 17:00
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Yoshiaki Matsumoto
今年2月末、Jリーグ・FC東京のプロモーション部で働く、あるスタッフから電話をいただいた。
「3月いっぱいでFC東京を退職することになりまして――」
シーズン開幕前の時期には、わりとこういう転職の連絡をもらうことがある。ただしプロスポーツ業界の場合、“転職”というより“移籍”に近いケースが多い。チームや所属団体が替わっても、きっと取材の現場でまた顔を合わせることはあるよね。このときも、最初はそう思った。ましてや電話の相手は、かつてカマタマーレ讃岐のゴールマウスを守った元サッカー選手だ。次はどのクラブで働くんだろう。あるいはサッカー以外の競技団体に移るのかな。と、次の言葉を待っていたら、驚かされた。
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「ポルシェで働くことにしました」
えっ。あの自動車メーカーのポルシェですか!?
サッカー以外で何ができる?
「小学生の頃からずっとサッカーをやってきて。大卒で讃岐に入って、FC東京でも働かせてもらって。ここからまたサッカーの業界の中で転職した時、『元選手なんですね』とか『Jクラブで仕事していたんですよね』って、本来の僕自身の力以外の肩書や経歴がたくさんついてきてしまうんじゃないかって。それが嫌だったんですよ。“じゃあ、自分はサッカーという枠を外して、もっと広いところに出たときに何ができるんだろう”って思ったんです。その枠を外して挑戦したことがないなら、別の業種でやってみようぜって」
4カ月後、ポルシェの試乗用最新型電気自動車のハンドルを握りながら、元“讃岐の守護神”家木大輔さんは笑顔で話す。
「楽しいですよ。お客様の目の前で、ポルシェの魅力を伝えられますから。学生の頃は、まさか自分が讃岐でサッカー選手になって、引退後も讃岐やFC東京、そしてポルシェで働くなんて、想像すらしていなかったですけどね」