もっとも、自分のチームを組織するのは容易な話ではない。レーシングカーをメンテナンスするためのエンジニアやメカニックを始め、チーム運営に関わる資金を集め運用する事務スタッフを集め、組織を維持するだけではなく先頭集団として鍛え上げなければならないのだ。レースを知り尽くしている必要があるばかりか、ドライバーやエンジニアやメカニックら、気むずかしいレース界で闘うスタッフの人心を掌握し、さらに巨額の活動資金を運用する経営能力も問われる難しい仕事である。

ついに国内レース界の主役級チームへ

　2000年、近藤は自分のチームであるKONDO RACINGを設立、初年度のみオーナードライバーとして全日本F3000選手権を闘った後は現役を退き、自らはチーム監督兼チーム経営者として新たな活動を開始した。

　KONDO RACINGが闘う相手は、元F1ドライバーの中嶋悟や鈴木亜久里、あるいは日本一速い男として国内外のレースで活躍した星野一義ら、そうそうたる顔ぶれの人々が運営するチームである。新興チームが容易に太刀打ちできる相手ではない。しかしKONDO RACINGは着実に戦闘力を上げていった。チーム運営の手腕で日本のトップレーサーが率いるチームをはじめとする国内トップチームに少しずつ迫っていったのである。

　チームを立ち上げて19年目の2018年、KONDO RACINGは国内トップカテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権のチーム部門でシリーズチャンピオンに輝いた。これまでに費やした19シーズンを長いと見るか短いとみるかは難しいところだが、少なくとも芸能人の知名度だけで獲得できる栄誉ではない。ここにKONDO RACINGは、脇役の域を脱し、国内レース界の主役級チームとなったのである。

2018年に近藤真彦が率いるチームが、国内トップカテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権のチーム部門でシリーズチャンピオンに輝いた　©Takashi Ogasawara

　現在近藤が率いるKONDO RACINGは、国内トップ選手がそろう2カテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権、SUPER GTの両シリーズを戦っている。昨シーズンには、SUPER GTシリーズのGT300クラスで、KONDO RACINGに所属する藤波清斗／ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組がシリーズチャンピオンとなった。強いチームには優秀なドライバーや優秀なエンジニア、メカニックが集まり、実力はますます充実していく。

最初は「『マッチのチームでしょ？』と誰も来なかった」

　2018年のインタビューで近藤はこう言っている。

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