テニスPRESSBACK NUMBER
最強女王・エナンが39歳に 「嘘つきでずるい人」セリーナを激怒させた“18年前の知らんぷり事件”とは?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2021/06/01 11:00
本日6月1日にジュスティーヌ・エナンの39回目の誕生日だ
サーブを打つ前に「待った」がかかっていたのだから、通常ならファーストサーブからのやり直しだ。しかし主審はエナンのジェスチャーを見ていなかった。「彼女は手を上げていたわ」とセリーナは主張したが、エナンは知らんぷりを通したのだ。
セリーナはそれ以上の抗議を行わず、ファーストサーブはそのままフォルト扱いされた。ここから試合の流れが変わる。エナンが4ポイント連続で奪ってブレークバックし、最終的に7-5で逆転勝利をつかんだ。試合後の記者会見で、セリーナが涙を浮かべて言った「彼女は嘘つきでずるい人」という言葉が忘れられない。
エナンは決勝でクライシュテルスとの同国対決を制し、グランドスラム初栄冠に輝いた。ローランギャロスは、12歳のときにガンで亡くなった母親が生前に連れて来てくれた思い出の場所。「いつかここで優勝する」と母に誓った場所。そんな美談に彩られた初優勝は、同時にセリーナとの間に消えないしこりを残し、稀有な才能の背後にもう一つのイメージを浮かび上がらせることにもなった。
8年後の告白に「誰かさんが、ついに白状したって?」
エナンはこの事件について、2011年2月、2度目の引退をした直後にベルギーのテレビ番組のインタビューでこう告白している。
「私が手を上げたことに彼女は気づき、それでサーブが乱れたのかもしれない。あのときそれが確信できたなら、私も何か言ったと思う。でも、すごく張り詰めた状況で、行動は理屈ではなく本能的になってしまうもの。あれが試合の流れを変えたかどうかはわからないけれど、いい思い出でないことは事実」
セリーナはツイッターですぐに反応した。
「フレンチ・オープンで私を欺き、周囲に嘘をついた誰かさんが、ついに白状したって?」
エナンはそのインタビューの中で、白状ついでにこう明かしている。