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【日本ダービー】シャフリヤールはなぜエフフォーリアに勝てたのか 「彼も今日は悔しくて眠れないでしょう」
posted2021/05/31 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
やはりダービーだけは特別なのか。2年ぶりに有観客で行われた「競馬の祭典」を制したのは、ダービー優勝経験のあるトレーナーが管理し、この4年でダービー3勝目となった名手が騎乗した良血馬だった。
第88回日本ダービー(5月30日、東京芝2400m、3歳GI)で、福永祐一が手綱をとる4番人気のシャフリヤール(牡、父ディープインパクト、栗東・藤原英昭厩舎)が優勝。管理する藤原調教師は2010年のエイシンフラッシュに次ぐダービー2勝目。福永にとっては、18年ワグネリアン、20年コントレイルに次ぐダービー3勝目となった。
圧倒的1番人気に支持された横山武史のエフフォーリアは鼻差の2着に惜敗した。
「早すぎるのですが、サトノレイナスも動きました」
横山は、ゲートからエフフォーリアを出して行った。1枠1番からの発走だったので、外から囲まれないよう、前のほうのポジションを取りに行ったのだ。この積極策で絶好位の3、4番手を取ることはできたが、出して行ったぶん、やや行きたがっている。
福永のシャフリヤールは、エフフォーリアをマークするように、1馬身ほど後ろの外につけた。
「いいスタートを切って、1コーナーに入るときに取りたいポジションを取れました。そこからペースが遅くなって動きのある競馬になり、インに押し込まれ、動くに動けない厳しい形になった。それでかえって極限まで脚を溜めるしかなくなりました」と福永。
道中はゆったりとした流れになり、1000m通過は1分0秒3。3、4コーナーでも馬群は密集し、好位馬群がかたまったまま最後の直線に向いた。
クリストフ・ルメールが騎乗する紅一点のサトノレイナスが、外からまくるように進出し、先頭をうかがう勢いだ。
「ペースが遅く、3コーナーで大外からプレッシャーをかけられたので、早すぎるのですが、サトノレイナスも動きました」とルメール。直後の外から武豊のディープモンスターとミルコ・デムーロのアドマヤハダルが押し上げてきたので、引くわけにはいかず、動くことになったのだ。