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【日本ダービー】シャフリヤールはなぜエフフォーリアに勝てたのか 「彼も今日は悔しくて眠れないでしょう」 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/05/31 11:45

【日本ダービー】シャフリヤールはなぜエフフォーリアに勝てたのか 「彼も今日は悔しくて眠れないでしょう」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

シャフリヤール(奥)が1番人気のエフフォーリアにわずかに先着し、福永祐一は日本ダービー連覇を遂げた

「人気に応えられず申し訳ありません。折り合い面は、思ったより掛かってしまいました。最後は伸びてくれたのですが、勝った馬に切れ負けしました」

 ゲートから出して行ったぶん掛かってしまった。1800mや2000mでも掛かり気味になったことがあるので、それは横山も覚悟のうえだっただろう。これまでのレースでは、道中で掛かっても、横山が抑えると落ちついていたのだが、今回は、息を抜いて走る局面がなかった。そのぶん最後の鍔迫り合いで厳しくなったのかもしれない。

 父の横山典弘が同じ5年目に1番人気のメジロライアンで臨んだときも2着だった。

「今日は悔しくて眠れないでしょう」

 シャフリヤールを管理する藤原調教師は横山についてこう話した。

「将来トップになる若武者です。未来の競馬界を背負っていく彼も、今日は悔しくて眠れないでしょう。その悔しさを与えたのがシャフリヤールであり、福永であり、藤原であるということは、彼の記憶に残って、意味のあるダービーになるでしょうね」

 福永のワグネリアンがダービーを勝ったときの2着馬は、藤原師が管理する皐月賞馬エポカドーロだった。

 また、福永は自身のお手馬だったエピファネイア産駒のダービー制覇を阻止することになったわけだ。

 こうしたつながりによるドラマは、競馬ならではのものだろう。

福永とシャフリヤールは運を味方につけた

 このダービーのひとつ前の第10レースの出走馬が馬場入りするとき、急に雨が降ってきた。雨足が強まり、このままでは馬場状態に影響するかと心配されたが、10分も経たずに止んで、雨雲も消えた。もし、あの雨がもっと長くつづいていたら、前走の毎日杯をレコード勝ちするなど、高速馬場を得意とするシャフリヤールにとっては、嫌なコンディションになっていたかもしれない。

 道中、脚を溜めるしかなくなったことも、直線でサトノレイナスが外にモタれて前がクリアになったことも、最後の首の上げ下げでゴールする瞬間鼻差だけ前に出ていたことも、福永の言う「紙一重」で「運」が作用した部分だろう。

 そうしたものまで自分の味方にできる騎手が、ダービーを勝てるのか。当たり前の表現になってしまうが、「あとは運を天に任せるだけ」というところまで、ダービーに向けて、やれることをやり尽くす、ということなのかもしれない。

 88回目の「競馬の祭典」は、見応えのある、素晴らしいレースだった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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