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「筋肉で私だってバレちゃうんです」 “乙女マッチョ”ぱんちゃん璃奈が「ポンコツの拳」で圧倒した“半年分の150秒” 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySachiko Hotaka

posted2021/05/30 11:04

「筋肉で私だってバレちゃうんです」 “乙女マッチョ”ぱんちゃん璃奈が「ポンコツの拳」で圧倒した“半年分の150秒”<Number Web> photograph by Sachiko Hotaka

多くの困難を越え、半年ぶりにこぎつけた試合でぱんちゃん璃奈は圧倒的な強さを見せつけた

「しかも、このポンコツの拳で」

「ダウンが取れない、KOできないと言われてきたのが悔しくて、全部強化して倒せる選手になって帰ってきました!」

 リング上でそう叫んだ興奮は一夜明け会見でも冷めていなかった。KOは狙っていたが、パンチ一発で倒せるとは予想していなかったと言う。

「しかも、このポンコツの拳で」

 手術した部分とは別の箇所も傷めており、右拳は完全な状態ではなかった。きちんと打てるようになったのは試合1週間前。それまでは「エアーで」打ち抜かずスピードとタイミングを合わせる練習ばかりだった。結果として、そのことで力みのないパンチを打つことができた可能性もある。

 前日計量でMIREYと向かい合った時に、相手のアゴの位置を確認した。半年間の練習によって、パンチで正確にアゴを打ち抜く意識が強まっていたからだ。

「向き合ったら、MIREY選手のアゴが予想より低く感じたんです。もしかしたら自分の身長がまだ伸びてるのかもしれないです。ここ数年で3cm伸びてますし。想定より低かった分、試合前の(ウォーミング)アップでもミットの位置を1cm単位で調整してもらいました」

武尊を見出した辣腕プロデューサーも

 負傷によるブランク、半年間の試合間隔、4週間の延期。あらゆるストレスを爆発させた2分30秒のKO劇だった。自身の成長で、すべてをプラスに転化したと言ってもいい。今後もKO勝ちが続くと断言はできないが、少なくとも“倒す力”があることは証明した。

 次戦は7月18日の後楽園大会を予定している。1階級上、48kgまでの強い選手と闘いたいと一夜明け会見でぱんちゃんは言った。宮田充プロデューサーも「気持ちは目の力で分かります。最高に近い形の試合を見せてくれたので、運営としても応えていきたい。今日から(マッチメイクに)動きます」とコメントした。

 宮田氏は全日本キックボクシング連盟で立嶋篤史、小林聡、魔裟斗といった名選手を磨き上げ、Krushを立ち上げると武尊を見出し、新生K-1を軌道に乗せた辣腕。そのプロデュース力とぱんちゃんの組み合わせも魅力的だ。

【次ページ】 「腕の筋肉で私だってバレちゃうんです」

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