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ケニア人選手にとって箱根駅伝は“特別な大会”ではない… 「稼げない」大学陸上界に留学生を招いた指揮官の使命
posted2021/05/27 11:00
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
L:Yuki Suenaga R:JMPA
大学の陸上部員にとって5月の関東インカレは“初夏の総力戦”だ。長距離以外も強化している大学は「総合優勝」「1部残留」「1部昇格」というチームの大きな目標がある。箱根駅伝を目指す大学にとっても現時点での実力をチェックできる。今年は20~23日に相模原ギオンスタジアムで開催されたが、長距離種目は例年以上に留学生ランナーの姿が目立った。
男子1部は5000mに4人、10000mに3人、ハーフに3人。同2部は5000mに6人、10000mに5人、ハーフに2人。留学生が過去最多のエントリーをしていたのだ。そして、すべての長距離種目はケニア人選手を軸にレースが進んだ。
イェゴン・ヴィンセントはじめ完勝が続出
初日のハーフマラソンは非公認(20.8km)で行われ、1部は留学生3人がトップ集団を形成。ライモイ・ヴィンセント(国士大)が1時間1分13秒で制すと、1秒差でチャールズ・ドゥング(日大)、2秒差でポール・オニエゴ(山梨学大)が続いた。日本人トップは四釜峻佑(順大)で1時間2分26秒だった。
2部はルカ・ムセンビ(東京国際大)を先頭にレースが進み、最後は3人がスパート合戦を繰り広げた。西久保遼(青学大)が1時間2分00秒で競り勝ち、0秒差で花尾恭輔(駒大)、1秒差でムセンビという順位だった。
1部の10000m(20日)と5000m(23日)は新登場のケニア人留学生が強さを見せた。1年生のサムソン・ディランゴ(流経大)だ。10000mは自己ベストの28分01秒80、5000mは後続に9秒差をつける13分39秒92で完勝した。
2部の長距離種目は今年の箱根駅伝2区で区間記録を打ち立てたイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)が別格の走りを披露している。10000mは学生歴代3位の27分30秒24をマーク。2位のフィリップ・ムルワ(創価大)に約26秒、日本人トップの唐澤拓海(駒大)に約35秒という大差をつけた。5000mも強風のなかを独走して、2位のノア・キプリモ(日本薬科大)に約8秒差をつける13分42秒54でフィニッシュした。