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「誰が見ても、私の攻撃がきれいに決まっているのに」 空手・月井隼南が“ジャッジの不利”のなか快挙を達成できた理由
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by本人提供
posted2021/05/20 11:00
空手の月井隼南は、東京五輪へ向けて最後の勝負をむかえようとしている
五輪では“5kg差”のハンディギャップも
世界最終予選では、もうひとつ試練が残されている。というのも、空手は東京オリンピックで初めて公式種目に採用される競技。そのため、組手では男子女子とも5階級が3階級に絞られて開催される。月井が主戦場とする50kg級は55kg級と統合される形で実施される。つまりオリンピックに出場するためには、一階級上で闘わないといけない。
5月中旬に取材した時点で月井の通常体重は53kg程度だった。
「(大会までに)あと1kgくらいはつけたい。そんな私とは対照的に対戦相手は55kgまで減量してくる人が多い。(計量は前日なので)試合当日は50kg台後半になっている選手もいるでしょう」
体格的なハンディは否めないが、月井のファイトスタイルはボクシングに例えるとアウトボクシングに近い。
「距離をとったり、相手との間合いを活かした闘いをしている。その部分に関していえば、55kg級でも活かせるところは活かそうと思っています」
万が一、最終予選で3位以内に入れなければ、アジア推薦枠で出場するという奥の手も残されている。月井は「その推薦枠のトップ3には入っているみたい」と打ち明ける。
「でも、推薦は全階級でひとりだけ。そこは運任せみたいになってしまうので、パリで決めたい」
5kg差を乗り越え、月井は東京への出場切符を射止めることができるのか。