濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「お前なんかいらない? だからどうした!」 芸能界からレスラー挑戦のウナギ・サヤカがプロレスに“どハマり”するまで
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/05/19 11:00
「シンデレラ・トーナメント」で朱里を下し、会場をどよめかせたウナギ・サヤカ
「普通あんなことやろうとするか?」
リング下で血を流しながら、ジュリアは愕然としていた。敗れたことだけでなく痛みもその原因だったのではないか。ジュリアが見せたバックドロップも頭頂部から落とすような形で、ちょっと怖くなった。もちろんプロだから、お互いの技量を理解した上での攻撃だとは思うのだが。
「普通あんなことやろうとするか?」とインタビュースペースでのジュリア。しかし舞華を「さすが」と称えてもいた。「恐ろしい女だよ。最高の仲間」。それがジュリアのプロレスラーとしてのスタンスなのだ。
舞華とジュリアは同じユニット。信頼関係があるからこそ攻撃がエスカレートするという面もある。舞華は言った。
「ジュリアだからこそあんな危ない、難易度の高いことを全力でできた。無謀だけど相手がジュリアだから」
シンデレラ・トーナメントに込められた意味
2人と同じユニット「ドンナ・デル・モンド」のひめかはヒールユニット「大江戸隊」に試合を邪魔された。対戦相手は“スターダムのアイコン”岩谷麻優。岩谷が率いる「STARS」は大江戸隊と抗争中で、結果として乱入した大江戸隊がひめかの勝利をアシストすることに。
試合後は勝ったひめかをよそにSTARSと大江戸隊が乱闘。STARSには新メンバーとしてコグマが加わった。コグマは6年ぶりの本格リング復帰だ。
昨年まで、シンデレラ・トーナメントは1大会で行なわれてきた。「シンデレラ」には、一夜にして人生が変わるという意味も込められていた。今年からは複数大会での実施に。そこに3度目の緊急事態宣言が重なり、スターダムの東京での大会日程も延び延びとなった。
そのためトーナメントとそれ以外の抗争、タイトル争いが同時進行することに。荒れ模様のSTARS対大江戸隊はトーナメントにも影響を及ぼしてしまった。ひめかにとっては納得のいかない試合だったはずだが、舞華とともに勝ち上がったという結果は大きい。