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「俺がメーンを張る」 全日本プロレスの“暴走専務”、44歳の諏訪魔が見据える伝統団体復興へのビジョンとは
posted2021/05/13 11:00
text by
門馬忠雄Tadao Monma
photograph by
AFLO
来年秋に創立50周年を迎える全日本プロレス。その専務執行役員に、現三冠ヘビー級王者の諏訪魔幸平が5年ぶりに就任した。フロントと現場の懸け橋となって、団体の再生に勝負をかけようと懸命だ。
「オール・ジャパンを、チームひとつに!」
諏訪魔は会社名を前面に出したスローガンを掲げ、「三冠統一の地から50周年への飛翔」と題した5月16日の東京・大田区総合体育館大会を団体復興の起爆剤と位置づけている(※その後、6月26日に延期することを発表)。その先に見据えるのは、両国国技館、日本武道館、東京ドームだ。
前回の専務取締役時代(2014年7月~'15年11月)には“暴走専務”と呼ばれながら、リングの内外で活躍した。今回の就任に際しても、福田剛紀社長から「暴走、大いに結構」と、お墨付きをもらった。まずはリングで暴れまくり、結果を残すことが先決だろう。
全日本は昨年、コロナ禍の影響で春の看板興行であるチャンピオン・カーニバルが秋開催となる異例の事態に陥った。今年の同大会は例年通り春開催に戻り、4月9日の大阪大会で開幕。5月3日の東京・後楽園ホール大会が最終戦となった。史上初めての日本人のみによるリーグ戦(出場10選手)とあって、猛烈な覇権争いが繰り広げられた。
必殺バックドロップは44歳の今も健在
「プレーヤーとしてもガンガンやる」
鼻息荒く宣言したとおり、“暴走専務”は、ここでも戦いのど真ん中に立った。5年前に右のアキレス腱を断裂する大怪我を負ったものの、左右両腕から放たれる豪快なラリアット、フィニッシュに決める必殺バックドロップは、44歳の今もまだまだ健在。何より大黒柱のパワーレスリングには、説得力がある。
「俺がメーンを張る」
5月16日のビッグイベントに向けても、闘志をたぎらせている。
昨年末、前社長の秋山準が退団。2月にDDTに正式入団したことによって、全日本は精神的なバックボーンを失いかけた。そんな状況だからこそ、故ジャイアント馬場が創設した伝統団体の浮沈は、諏訪魔のリーダーシップ如何にかかる。
専務レスラーに課せられたテーマは山積みだが、まずは勝負の興行、大田区総合体育館大会のカードを注視したい。