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寂しすぎる…横浜文化体育館の解体工事の様子を元プロレス記者が追跡! 思い出した鼻をツンとつく匂いと和室のプレスルーム

posted2021/05/27 06:00

 
寂しすぎる…横浜文化体育館の解体工事の様子を元プロレス記者が追跡! 思い出した鼻をツンとつく匂いと和室のプレスルーム<Number Web> photograph by Keisuke Takagi

着々と解体工事が進む横浜文化体育館。寂しさとともに、当時の思い出が蘇ってきた(写真は5月25日現在)

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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Keisuke Takagi

 横浜の関内駅付近をぶらり散歩していたら、昨年9月に閉鎖された横浜文化体育館の解体工事が着々と進んでいた。更地と化すのも時間の問題だろう。その向こう側にはプロレスや格闘技興行における新たな“ハマの聖地”となるであろう横浜武道館(旧・市立横浜総合高校跡地に建設)の屋根部分が見えている。

 更地となった横浜文化体育館の跡地には、2024年にオープン予定の大規模イベントやコンサート用の施設「横浜ユナイテッドアリーナ」が建設される。

 昭和37年に完成した横浜文化体育館はこの地に58年の歴史を刻んできた。人それぞれさまざまな思い出があるだろう。かくいう筆者も、プロレスや格闘技の取材で何度となく訪れただけでなく、観客としてプロレスやサーカス興行を観に行ったこともあれば、小学生時代には柔道、高校生時代にはレスリングの試合をしたこともある。

 ドアを開けて内部に入った瞬間、鼻にツンと感じる古い校舎のような、昭和30年代の建築物独特の匂いはまだ記憶に生々しい。

 横浜文化体育館が消えたことで、力道山が試合したことのある国内体育館も消失してしまった……と思ったら、まだまだ千葉公園体育館(昭和31年~)、福井市体育館(昭和34年~)、鹿児島県体育館(昭和35年~)と、昭和30年代築の体育館が健在。探せば他にも存在するのかも知れないが、いずれ全滅は時間の問題だろう。

ベストバウトは藤波vs.猪木

 東京五輪のバスケットボールやバレーボールの会場(予選)としても知られているが、数あるスポーツの中でも、やっぱりプロレスファンの思い入れは強い。アントニオ猪木、最後のタイトルマッチとなった昭和63年8月8日のIWGPヘビー級選手権(王者・藤波辰巳vs挑戦者・アントニオ猪木 ※現在は藤波辰爾)の真夏のフルタイム戦を「文体ベストバウト」に挙げる方も多いようだ。

 個人的にはリング外の猪木で印象深い場面がある。

 21世紀に入ったばかりの頃、日本プロレス→新日本プロレスと行動を共にした木戸修の引退試合(2001年11月2日)での出来事だ。その直前、猪木は「木戸の引退試合には、オレが会場入口で木戸番でもしようかな?ムッフフフ」と例によってアントンジョークを放っていた。

 筆者自身、その発言を記事にはしたものの、書き手も読み手も誰も本気にはしていなかった。ところが猪木は当日、なんと自らの“駄洒落の落とし前”として、本当に文体の会場入口に立ちつつ、せっせとチケットのもぎりをやっていた。その横で主役たる木戸が申し訳なさそうな表情で立っているという、なんとも不思議な構図だった。

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