メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
直前にトランプ遊びも「まさかのノーヒッター」 秋山翔吾の復帰戦を飾った“先発の5番手”マイリーって誰だ?
posted2021/05/12 11:01
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
クラスで一番勉強ができるわけでも、誰よりもスポーツで目立つわけでもない。時にはうるさいぐらいのお喋り好きだけど、なんとなく憎めない。そんな子がある日、突然、ヒーローになったら――?
レッズのウェイド・マイリーのノーヒッター(無安打無得点試合)達成は、まさにそんな感じだった。
試合直前にトランプゲームをしていた先発投手
5月7日金曜日のオハイオ州クリーブランド。雨のお陰で、インディアンス対レッズ戦の開始が遅延すると発表された。その頃、ビジターチームのクラブハウスでは、口の周りに髭を蓄えた大柄な選手が仲間とトランプのゲームに興じ、数ドル稼いでは「雨で中止だ!」などと叫んでいたという。ウェイド・マイリー。その日の先発投手である。
公称:身長188センチ、体重99キロ。決して太っているわけではないが、失礼ながらアスリートっぽくフィットしているイメージはない。南部ルイジアナの出身で、自身も「カントリーボーイ」と公言している。日本風に言えば「田舎の兄ちゃん」だ。
日本人選手とも一緒にプレーした経験があり、パンデミックによりクラブハウスが閉鎖される前は、日本人メディアにも気さくに話しかけるフレンドリーな人だった。岩隈久志氏や青木宣親外野手(現ヤクルト)の同僚だったマリナーズ時代には、世話になった日本人スタッフに突然、スコッティ・キャメロン(高級ゴルフパター)をプレゼントするなど、裏方さんへの気遣いもできる人である。
右前腕に超人ハルクの刺青ステッカー
トランプゲームについて問うと、「いつも通り、ふざけてただけさ。野手の連中は腹立ったろうね。でも、いつもそうやってリラックスしているんだ。プレッシャーを感じないように。考えすぎないようにって」とマイリー。だが、彼の相棒であるタッカー・バーンハート捕手は、そんな4歳年上のチームメイトをこう表現する。
「彼の性格って、とても伝播しやすいんだよ。本物の素晴らしい男だね。それ以外の言い方はないよ。ロッカールームの誰もが彼を愛してる」