酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平vsメジャー最強選手+日本人対戦成績を大調査 菊池雄星“先輩”に好相性、ダルとは未対戦、苦手な打者と投手は…
posted2021/05/12 17:04
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
AFLO
「毎日楽しそうでいいですね」
BSのMLB中継で、解説者の武田一浩さんはそう言った。思わず笑ってしまったが、今の大谷翔平はそういうしかないほど伸び伸びと野球をやっている。
現地5月11日のアストロズ戦では、先発で好投して降板後、右翼の守備に就き中堅のトラウトらと外野で楽しそうに話していた。草野球じゃないんだから――と突っ込みたくなるが、成績はしっかりと残している。
5月11日の時点で、打者としては33試合132打数35安打10本塁打26打点、打率.265。一時は打率が下がっていくかと思えたが、8日のドジャース戦で二塁打を2本打ち、また少し上げた。規定打席に到達して、打率はア・リーグ39位だが本塁打はレッドソックスのJDマルティネス、インディアンスのホセ・ラミレスと並ぶ1位、打点は8位タイだ。
投手としては5試合1勝0敗25.2回11被安打2被本塁打20与四球40奪三振、防御率2.10。イニング数に迫る与四球は問題ありだが、11日の登板では勝ち星はつかなかったものの7回4被安打自責点1。タッカーに本塁打を食らっただけでほとんど失投がなく、どんどん調子が上がっていると感じさせた。
マドン監督は投手としては無理をさせていないが、それでも故障がなければ最終的に90イニングは投げそうだ。
投手vs打者、打者vs投手、投手vs投手で振り返る
こうした数字も大したものだが、二刀流の大谷は一つ一つの投打の勝負も面白い。大谷の場合、投手vs打者、打者vs投手、投手vs投手の3つの勝負を見ることができるのだ。そこで大谷のMLBでの「名勝負」を振り返ろう。以下はすべて5月11日時点での対戦成績だ。
<打者大谷vs名投手>
★サイ・ヤング賞受賞投手との対戦成績★
ジャスティン・バーランダー(アストロズ)
17打数4安打2本塁打3打点 率.235
殿堂入り間違いなしの226勝右腕との最初の対戦は2018年5月16日、大谷は4打席で空振り三振が3回、二ゴロと手も足も出なかった。「野球をやってきて一番速い球」「品のある球だった」と独特の感想を漏らしたが、7月21日の2回目の対戦、第一打席でいきなりバントで揺さぶると(結果は投ゴロ)、2打席目で右翼へ二塁打、3打席目もいい当たりの右直を放った。そして8月25日の対戦ではホームランを叩き込んで見事リベンジしている。
翌2019年7月5日の対戦でも、センターに大ホームラン。この日は大谷の25回目の誕生日だった。
なお今季、バーランダーはトミー・ジョン手術のため全休。来季の再戦が待たれるところだ。
ザック・グレインキー(アストロズ)
10打数3安打0本塁打1打点 率.300
2009年サイ・ヤング賞。37歳のベテラン投手。多彩な変化球を同じ軌道で投げ分ける名人級の投手。2019年8月23日の初対戦では3打席無安打。やはり技巧派に歯が立たない印象だったが、今年4月6日と23日の対戦では7打数3安打1二塁打と打ち崩した。
近年、グレインキーは成績が下降気味であり、大谷には攻略しやすい投手になりつつある。