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ダルビッシュの快投と混戦のナ・リーグ西地区。大補強パドレスと穴馬ジャイアンツの首位争いに本命ドジャースが絡んで温度急上昇
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2021/05/08 06:00
7試合3勝、防御率2.27、投球回数43回2/3の成績で(5月6日時点)、ダルビッシュは名実ともにエースとして投手陣を牽引している
とまあそういった理由で、私もジャイアンツにはさほど注目していなかった。ところが、ペナントレースが幕を開けると、先発投手陣が大健闘を見せる。ケヴィン・ガウスマン(防御率2.04)、アンソニー・デスクラファーニ(2.00)、アーロン・サンチェス(3.18)、アレックス・ウッド(1.96)といった、いずれも30歳前後の中堅投手陣がそろって好調を維持し、5月4日現在、チームはナ・リーグ西地区の首位を走っているのだ。
ただ、この快進撃がいつまでも続くとは思えない。18勝12敗(5月4日現在)の内訳を見ると、パドレスとは3勝3敗だが、ドジャースとは今季まだ一度も戦っていない。貯金の大半は、ロッキーズに6勝2敗と大きく勝ち越していることに由来する。ライバルのドジャースも、ロッキーズには6勝1敗と大きく勝ち越しているが、パドレスは、今季ロッキーズと未対戦だ。
首位争いを左右する3強の直接対決
そんなわけで、先はまだまだわからない。今季、3強の直接対決は、ドジャース対パドレスが19試合(現在はパドレスの4勝3敗)、ドジャース対ジャイアンツが19試合(未対戦)、パドレス対ジャイアンツが19試合(現在は3勝3敗)組まれている。
さしあたって5月下旬には、ドジャースとジャイアンツが7試合を戦う。故障者続出で苦しいドジャースが、ここで地力を見せてジャイアンツを引きずり落とせるか。あるいは、打率こそ低いが打点の多いジャイアンツ打線が、ドジャースの強力先発投手陣を打ち崩せるか。
それとも、両者が星のつぶし合いを演じている間隙を縫って、5月にロッキーズと6試合を戦うパドレスが一気に浮上するのか(とはいうものの、その前後には、カーディナルスやブルワーズといった難敵と戦わなければならない)。
波瀾含みの展開はまだまだ続きそうだが、そうなると、ダルビッシュの右腕にかかる期待はいままで以上に大きくなる。彼とともにパドレス投手陣を背負うはずだったブレイク・スネルやジョー・マスグローヴがやや安定感を欠く現在、頼れるエースはダルビッシュひとりなのだ。パドレスとしては、ようやくマウンドに戻ってきた剛球投手ディネルソン・ラメットの本格的な復調を祈りたいところだろう。あとはもちろん、まだ湿りがちなフェルナンド・タティースJr.とマニー・マチャドの打棒復活だ。投打の両輪が噛み合えば、パドレスはまだまだ強くなれる。