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「国際的失業者」と自虐していた鈴木秀樹(41)がWWEのコーチに就任! 求められる“人間風車”ビル・ロビンソンの技術とは
text by
高木圭介Keisuke Takagi
photograph by2021 WWE, Inc.
posted2021/05/07 17:02
WWEパフォーマンスセンターのコーチに就任する鈴木秀樹 ©2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ロビンソンは鈴木のプロデビュー戦(2008年11月24日、愛知県体育館=vs.金原弘光)を見届けつつ、試合後に関係者に叱責され、フテくされる鈴木に対して、「フジナミ(藤波辰爾)やサヤマ(佐山聡=初代タイガーマスク)の動きをよく見てみろ。観客が何を求めているか分かるだろう?」とプロとしての心構えをアドバイス。
やがて鈴木に「You are my hope」という言葉を残して米国へと帰国。14年にアーカンソー州リトルロックにて75歳で死去した。鈴木はそんなロビンソンの遺志を受け継ぎつつ、米国でのコーチ業に意欲を示している。
水面下で動いていたコーチ就任
鈴木のコーチ就任計画は、突然ふって湧いたものではなく、2018年末あたりには水面下で動き出していた。19年春には来日したWWE関係者と接触して早々と内定。いつ渡米することになるかも分からないため、当然、その後の活動にはブロックがかかる。
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その後、WWE側の計画変更やら、全世界を襲った新型コロナ禍によって、鈴木の渡米は何度となく延期延期を繰り返すことに……。本来、どの団体に上がっても看板王座やメイン戦線にからむべき活躍が期待される鈴木が、ここ数年は不自然なほど、どの団体でも端役ポジションに甘んじていたり(本人は楽しんでいたが)、女子プロレスのアイスリボンに登場しては迷惑がられていたり、自虐的に「高円寺の無職」「国際的失業者」を自称していたのには、そういった長期プランが立てられない裏事情があった。
5年、10年後には鈴木の指導を受けた選手がWWEを代表するスーパースターへと成長したり、または日本の団体で活躍する姿も見られることだろう。そんな近未来を楽しみにしつつ、鈴木自身がプレイヤーとしてもWWEマットに爪痕を残してくれることにも期待したい。