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33歳ナーゲルスマン電撃就任… 6冠王者バイエルンのフリック監督はなぜ今季限りで辞めるのか? フロントと衝突の真相とは
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/04/28 17:03
33歳にしてバイエルン監督に就任するナーゲルスマン(左)と、強いバイエルンを作り上げたフリック監督
3月にフリック監督は「誰が見てもわかるように昨季の方がチームのクオリティは高かった」と発言していたが、その矛先は明らかにサリハミジッチSDへと向けられていた。
昨季の主力メンバーでは、スペイン代表チアゴ・アルカンタラがリバプールを新天地に選び、ブラジル代表コウチーニョとクロアチア代表イバン・ペリシッチはレンタル契約を満了してバルセロナとインテルへ復帰した。加えて現在は、コランタン・トリソが負傷で長期離脱しているという状態だ。
今季加入組を見てみると……
今季加入組では、マンチェスター・シティから移籍のドイツ代表レロイ・サネ、そしてポーランド代表ロベルト・レバンドフスキのバックアップとしてパリSGから獲得したカメルーン代表エリック・マクシム・シュポ・モティングは確かな戦力となっている。ただ、サネに関して言うと、まだ完全なレギュラーとは言えず、フランス代表キングスレー・コマンとドイツ代表セルジ・ニャブリに問題がなければ、彼らに次ぐ存在である点は指摘せざるを得ない。
『シュポルト・ビルト』誌によると、フリック監督は今季に向けて元ドイツ代表マリオ・ゲッツェ、ドイツ代表ティモ・ベルナー、ベンヤミン・ヘンリクスの3人に電話をかけてコンタクトを取っていたが、いずれも首脳陣からゴーサインをもらえず断念した。他にもカイ・ハバーツ、カラム・ハドソンオドイらを希望したが、獲得できなかった。
代わりにサリハミジッチSDが補強したのは、ブナ・サール(マルセイユ)、ドウグラス・コスタ(ユベントス)などだが、残念ながら戦力として機能しているとは言えず、総出場時間も極めて少ない。
マテウスが口にした皮肉が突き刺さる
元ドイツ代表キャプテンで現在は解説者のローター・マテウスの、「ベンチに座る選手の陣容を見てほしい。ライプツィヒのほうが充実しているではないか」という皮肉が痛いほど突き刺さる。
主力が勢揃いしたときのバイエルンは、今なお世界トップレベルにある。CL優勝だって狙えるほどだ。だが、いつ、どこで、何が起こるかわからない。だからこそ、シーズンを戦い切るためのチーム作りが重要になるわけだ。国内リーグとチャンピオンズリーグでタイトルを懸けたぎりぎりの戦いがスタートする終盤は、まさに全戦力が必要になる。