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メッシを上回って“国産リーガ得点王”誕生なるか… 「ラウールの後継者」ジェラール・モレノが称賛される才能とは
posted2021/04/25 17:01
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
2008-09シーズンのディエゴ・フォルラン(A・マドリー)を最後に、リーガ得点王の座はバルセロナとR・マドリーの選手――2015-16シーズンのルイス・スアレス以外は、すべてメッシとC・ロナウド――が独占してきた。
スペイン出身の最多得点者となると、その前年(マジョルカのダニ・グイサ)が最後である。従って、ビジャレアルのジェラール・モレノ(20得点)が現在得点ランキング首位のメッシ(23得点)に追いつき追い越し、ゴールデンブーツを獲得したら、10数年ぶりの快挙を2つ同時に成し遂げることになるわけだ。
相手がメッシだけに簡単ではないだろう。
しかし、ジェラールの勢いはすさまじく、今年に入ってリーガ13試合で12得点。ELの6試合でも6得点している。
独自のアルゴリズムで選手を採点している英国のデータ分析サイト『WhoScored.com』のランキングにおいて、ジェラールはメッシ、レバンドフスキ、ハリー・ケインに次いで4位につけており、直近6試合のランキングでは首位メッシの背後に迫っている(4月20日時点)。
世代別代表もビッグクラブ所属経験もない
近年の国産ストライカーの象徴的存在であるフェルナンド・トーレスやビジャとは違い、ジェラールには世代別代表歴がない。また、29歳のいまに至るまで大きなクラブに属したこともない。
しかし、ゴールを決める優れた能力は早くから知られており、19年10月に彼をA代表でデビューさせたロベルト・モレノ監督は、ジェラールがバルセロナ近郊の小さなクラブのユースチームにいた頃から注目していたという。
遡って20歳で迎えた2012-13シーズン、2部ビジャレアルのトップチームでデビューを果たした彼が、翌年2部のマジョルカへローン移籍することになったのも、非凡な才能がベティスやバルサでの監督経験を持つセラ・フェレール(当時マジョルカのオーナー)の目に留まったからだった。
とはいえ、ジェラールの名前が全国レベルのサッカーメディアに頻繁に取り上げられるようになったのは、2015年にエスパニョールへ移籍してからだ。