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【松山英樹はもらえる?】“超人気者”に8億円超のビッグ・ボーナスが!? 米ゴルフが打ち出した新たな評価軸は「グーグル検索」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/04/28 17:04
マスターズ優勝という“最高の名誉”をつかんだ松山英樹。米ツアーで新たに設置された「人気」の評価軸は、松山にとっても朗報か
言うまでもなく、プロゴルフの世界はアスリートたちの戦いの場であり、そこで求められるのは成績や結果であるはずで、だからこそ、米ツアーは高額賞金を選手たちに授け、コースの整備やセッティングにも、惜しみないお金と時間と労力を注ぎ込んでいる。
タイガー・ウッズがデビューした1996年以降、米ツアーはウッズとともに急成長を遂げ、ともに巨大化してきた。そして、世界一のプロゴルフツアーという米ツアーの立ち位置は揺るぎないものだったはずである。
しかし、そこに揺さぶりをかける存在が出現したからこそ、その対策として米ツアーが打ち出したのが、この新ボーナス作戦なのだ。
米ツアーに対抗する新たなツアーとして、PGL(プレミア・ゴルフ・リーグ)構想というものが、英国拠点のワールド・ゴルフ・グループ(WGG)から最初に発表されたのは2018年5月だった。
そのときのPGL構想は、まるで絵に描いた餅のようで、誰も取り合わず、一笑に付された。
しかし、2020年の年明けに再度発表されたPGL構想は驚くほど具体化されており、「ひょっとしたら、現実になるのでは?」と、選手たちもゴルフ関係者も揺れ始めた。
PGLはすでにマキロイらに打診済
その内容は、年間18試合を開催し、どの試合も1試合の賞金総額は10ミリオンドル(約11億円)という超高額。試合形式は個人戦とチーム戦があり、個人戦は3日間大会で予選カットは行なわず、世界のトッププレーヤーばかり48人が腕を競い合う。チーム戦は4人1組、合計12組が世界一を競い合うという構想。当初は2022年からの開始が予定されていたが、コロナ禍の影響で遅れている様子だ。
しかし、内容がきわめて具体的な上、米ツアーと完全に重なる日程を組もうとしている。資金源は豊潤な「サウジ・マネー」と言われており、PGLがオファーしようとしている高額賞金は米ツアーに勝るとも劣らない。
さすがに事態を重く見た米ツアーのジェイ・モナハン会長は「我がPGAツアーと新ツアーの両方のメンバーになることはできない」と記したメモを選手たちに回して、すぐさま釘を刺した。
だが、PGLはすでに米ツアーの複数の人気選手に接触し、PGLへ「移籍」することを打診した。ローリー・マキロイは「打診されたが拒否した」と明かしたが、ブルックス・ケプカ、フィル・ミケルソン、リッキー・ファウラーらもPGLから「是非、ウチへ」と、にじり寄られている。
現状でPGLへの移籍を明言した選手はいないのだが、人気選手の万が一の「流出」を未然に防止するために何か手を打たなければということで考案されたのが、この新ボーナス作戦なのだと米メディアは見ている。