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<2年連続賞金王のその先へ> 石川遼 「史上最強の19歳」 ~世界の強豪と比較して~
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byTaku Miyamoto
posted2010/11/25 07:30
だが国内の基準で見ているだけでは、この19歳の凄さは分からない。
世界の強豪との比較から、恐るべき才能をあらためて考察する。
石川遼が2年連続で賞金王になるかどうか――なる可能性は十分あるが、もはや、それだけが重要なことではなくなっている。昨年、18歳で最年少賞金王になったことで、日本国内における「役割」のようなものは、すでに果たしたと言える。今後、日本ツアーの賞金王に何度なれるか。それだけに注目が行くのは彼自身にとっても、日本のゴルフ界にとっても、望ましいことではない。
今年の石川遼を振り返るなら、日本ツアーでの成績より、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロという4大メジャートーナメントで何ができたか。これを詳しく分析した方が、今年の石川と、今後の石川を考える上で、より多くの情報を得られるように思われる。
本人が「夢はマスターズ優勝」と言っていることはよく知られている。一昨年、16歳でプロに転向した時、それはまだ、現実の洗礼を受けていない、少年の夢に過ぎなかった。
だが、今は違う。石川はすでに2回、マスターズに出場しており、現実の洗礼を受けている。2回とも予選落ちしているが、少なくとも、彼の夢は、もはや子供の放言ではない。彼はマスターズがどのようなものか知っているし、その上で、さらに上のステップへ上がろうと、スイングの改造にも取り組んでいる。
18歳で出場した4大メジャーでの成績は?
石川は昨年、日本ツアーの賞金王になり、世界ランキングも上がったことで、今年初めて4大メジャーの全試合に出場した。彼は今年の9月17日で19歳の誕生日を迎えているから、4月から8月にかけて行なわれた4大メジャーは、いずれも18歳で出場している。
18歳で4大メジャーに出場というだけで、これは大変な快挙なのだが、それはひとまず置いておくとして、この4大会でどのような結果だったか振り返ってみよう。
マスターズ 4オーバー 予選落ち
全米オープン 12オーバー 33位タイ
全英オープン 2アンダ― 27位タイ
全米プロ 6オーバー 予選落ち
4大会のうち2大会で予選落ち。全英オープンの27位タイが最もよい成績で、全米オープンが33位タイ。これだけ見ると、一見、驚くような成績ではないように思える。
だが、それは的確な見方ではない。石川の今年の4大メジャーにおける成績は、18歳という年齢を考えると、十分価値があり、将来に向けて注目すべき成績だと言えるのである。