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【松山英樹はもらえる?】“超人気者”に8億円超のビッグ・ボーナスが!? 米ゴルフが打ち出した新たな評価軸は「グーグル検索」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/04/28 17:04
マスターズ優勝という“最高の名誉”をつかんだ松山英樹。米ツアーで新たに設置された「人気」の評価軸は、松山にとっても朗報か
簡単に言ってしまえば、お金で人気選手を引き入れようとするPGLに、米ツアーが新ボーナス作戦というお金で対抗しているわけで、「目には目を」的な対策ではある。
しかし、米ツアーはその場の思いつきで札束をばら撒こうとしているわけではなく、PGL構想がまだ「絵に描いた餅」に過ぎなかった段階で、綿密なリサーチを開始し、人気度を測る指標や方法を吟味し、2019年には新ボーナス作戦のシミュレーションも行なったそうだ。
その際、人気度ランキングの上位に来たのは、ウッズやミケルソン、ケプカ、ファウラーなど、まさにPGLがアプローチをかけた顔ぶればかりとなり、ブライソン・デシャンボーはボーナス支給対象外の12位だった。
しかし、あれから2年が経過した今、肉体を巨体化して全米オープン覇者となったデシャンボーが、この人気度ランキングでトップクラスに入ることは疑いようもない。
ウッズは交通事故で重傷を負い、ケプカは度重なる故障、ミケルソンとファウラーは絶不調で、いずれも試合でのパフォーマンスはすっかり下がっているのだが、「たとえ何がどうなっても、人気度とその貢献度ならタイガーが常に1位だ」とケプカは言い切る。
一方、他選手の多くは「ビッグな試合で勝って注目されれば、メディアに取り上げられて露出が増え、人気が出るという構図は、いつの世も変わらない。結局、新ボーナス作戦は、一部の強い人気選手の懐がさらに膨らむだけのことだ」と批判したり、落胆したりしているが、この声こそは実に的を射ている。
なるほど、成績に基づく賞金やフェデックスカップのボーナスに、人気に基づく新ボーナスが加わったことで、米ツアーは以前にも増して弱肉強食の世界になったと言えるわけで、新ボーナス作戦は、ライバルになりそうでならなそうなPGLへの対策というよりも、むしろ米ツアーの自己研鑽と向上のための「なすべき対策」なのかもしれない。