青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER

石川遼、薗田峻輔、浅地洋佑……。
若き才能たちの知られざる原点。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2010/07/08 10:30

石川遼、薗田峻輔、浅地洋佑……。若き才能たちの知られざる原点。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

【問1】 石川遼、薗田峻輔、浅地洋佑。この3人の共通点は何?

 これは少しでもツアーに興味のある方には問題にもならないほど簡単なものかもしれない。

 答えは3人とも杉並学院高の出身(浅地は2年在学中)であるということ。20歳の薗田が一番年上で、その2学年下に石川、さらに2つ年の離れた後輩が浅地になる。

 石川は言うに及ばず、5月のダイヤモンドカップでは浅地が2位で予選ラウンドを突破し、最終的には先輩2人を抑えて9位に入るという大健闘を見せた。

 薗田も6月のミズノオープンよみうりクラシックで、プロ5戦目にして早々と優勝を勝ち取った。20 歳9カ月での初勝利は歴代4位の年少記録である。ちなみにこの大会では浅地も24位となってローアマに輝いている。石川はいずれの大会でも2人の後塵を拝する格好となった。

 今でこそ石川らの活躍で名が知られるようになったものの、杉並学院高は今も昔も依然としてゴルフの超エリート校というわけではない。それなのに男子ツアーに台頭する若い世代といえば、なぜか杉並学院勢の活躍が目立つ現状がある。

「前監督さんの強い思いが中3の僕にも伝わってきました」

 では続いて、

【問2】 3人が同校に入学した共通のきっかけとは?

 石川は杉並学院勢の強さの理由を聞かれてこんな風に答えている。

「僕が杉並学院に入学した大きなきっかけは前の監督さんの存在でした。『この学校から日本のトーナメントで活躍できる選手を生み出したい』という強い思いが(声をかけられた時の)中3の僕にも伝わってきましたから。他校よりゴルフ部の人数も少ないのに活躍する選手が多いのは監督の熱意が大きいと思います」

 杉並学院ゴルフ部前監督の吉岡徹治氏は'04年から監督としてチーム強化に携わり、選手の勧誘や練習環境の充実に努めてきた。3人はいずれも吉岡氏に声をかけられて(浅地は中等部から)入学してきた選手だ。

 '08年春に退任した吉岡氏は、現在は学校の枠にとらわれずにジュニアの発掘、育成を行うプロジェクト「MAGIC」を主宰している。

「僕が考えていたのは、男子選手を強くするにはどうしたらいいんだろうということでした。男子を育てるのはうまくいかないことが多くて難しいとされていたんでね。

 どんな競技でも選手は上のカテゴリーでプレーすることで上手くなれるもの。だから、石川たちのような子たちも、高校よりもっと上の舞台でやらせたら上手くなるに違いないと思ったんです。もちろん学校として出場する高校生の試合も軽視したことはないし、本人たちに聞いた上で出場したいと言った試合を優先しただけですけどね」

 ゴルフ部としての活動を否定するわけではないが、あふれんばかりの活力と向上心をもつ若い選手にはツアー出場という水を少しばかり注いでやる。そうすることで、それぞれのもつ可能性がさらに大きく花開いたのである。

 ツアー初出場でいきなりの優勝を飾った'07年マンシングウェアオープンKSBカップでの石川の快挙も、積極的にツアーに出ようという吉岡氏の後押しと環境作りなくしてはあり得なかった。

【次ページ】 監督は生徒たちにプロという高い目標を提示し続けた。

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