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メッシを上回って“国産リーガ得点王”誕生なるか… 「ラウールの後継者」ジェラール・モレノが称賛される才能とは
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/04/25 17:01
ビジャレアル在籍時の久保建英は出番が限られたが、ジェラール・モレノの才能の高さゆえだったのかもしれない
「なんでそんなに上手いんだ?」
チームメイトだったDFハビ・ロペスは『マルカ』紙の取材に対し、ジェラールの活躍を回想している。
「彼がワントップを務めたシーズンは、自分でシュートをしたりチャンスを作ったりして、独りで試合を決めていた。ある夜、試合後に『なんでそんなに上手いんだ?』って聞いたことを覚えているよ。サイドに開くのが上手く、セカンドフォワードもこなし、データを見ると誰よりも走っていた。みんな、彼のことを守備的フォワードって呼んでいたんだ。チームが求めることを完璧にこなしていたからね。とても賢く、献身的だった」
2018年夏、ジェラールはビジャレアルへ戻った。最初のシーズンはチームと噛み合わず、波に乗れず、ロベルト・モレノ監督いわく「自信を失っていた」が、昨シーズンになって右サイドから攻め込むことを許されると、水を得た魚となった。
シーズン得点数ではフォルランを抜いている
リーガでの得点/アシストは8/1から18/6に増え、公式戦37試合で20得点6アシスト。今季は先述の18ゴールの前に8得点しているので都合35試合で26得点8アシストだ。
ビジャレアルの「1シーズンの最多得点ランキング」では、すでにフォルランが04-05シーズンに記録した25点を抜き、歴代1位ロッシの32点(10-11シーズン)を射程に入れている。
彼に惚れ込むロベルト・モレノ監督は、急激な右肩上がりの理由をこう説明している。
「いまのジェラールからは自信と意欲が感じ取れる。以前はなかった我慢も覚えたようだ。良いプレーをするために、辛抱強くなった」
得点に加え、彼には「チームプレーヤー」という持ち味もある。どんな場面でもチームを利する動きを選び、判断を下すジェラールを見ていると、セラ・フェレールはスペインサッカー史に残る名FWを思い出すという。