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渡辺一平「何が間違っていたのか…」競泳日本選手権に見た“一発選考”の重圧 五輪をかけた勝負後の選手たち
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2021/04/12 17:20
数々の実績を残しつつも東京五輪代表の切符を逃した渡辺一平。代表入りを果たした選手たちは彼らの思いとともに五輪へ臨む
3大会連続出場を逃した鈴木聡美は
ロンドンで3つのメダルを獲得、リオにも出場した平泳ぎの鈴木聡美は、100mで3位、200mは7位で3大会連続出場はならなかった。だが非五輪種目の50mでは日本記録まで0秒07に迫る好記録で優勝。
「弱い自分とさよならして、1年間取り組んでいきたいです」
30歳のキャリア豊富なスイマーは、地元福岡で行なわれる1年後の世界選手権を目指し、前を向く。その姿勢も印象を残す。
五輪延期の影響の大きさを実感させられる大会に
大会は終わった。リレー種目も含め、計33名の選手が内定した。
全体を見渡せば、新型コロナウイルス感染拡大でオリンピックが1年延期になったことをあらためて実感させられる大会でもあった。
昨春に実施されていれば、復調の途上にある選手にとっては、時間が足りなかった可能性があった。さらに1年前は決して有力候補と目されていなかった中で、代表の切符をつかんだ選手も少なからずいる。延期された1年をいかせたからこそであり、さまざまな制約がある中、試行錯誤しつつ向上を志して歩んできた証でもある。
代表に選ばれた選手の中には、敗れて入れなかった選手を思い、涙を流した選手もいた。
競い合う中で切磋琢磨し、互いを認め、ともに戦ってきた関係もいくつもある。
代表になった選手たちは、切符をつかめなかった選手の思いとともに、先へと進んでいく。