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【松山英樹マスターズ優勝】「ザ・マツヤマ」という名のショータイム…見事な勝ちっぷりを予感させた変化とは?「自分が正しいと思い過ぎていた」 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byGetty Images

posted2021/04/12 11:03

【松山英樹マスターズ優勝】「ザ・マツヤマ」という名のショータイム…見事な勝ちっぷりを予感させた変化とは?「自分が正しいと思い過ぎていた」<Number Web> photograph by Getty Images

悲願のマスターズ優勝を達成した松山英樹。ローアマ獲得から10年、日本人初の快挙だった

 振り返れば、松山に初めて会ったのは、今からちょうど10年前。2011年のマスターズだった。

 あのときの松山は、前年のアジア・アマチュア選手権(現アジア・パシフィック・アマチュア選手権)で優勝し、その資格でオーガスタ・ナショナルにやってきた大学生だった。

 3日目のラウンド後、「このまま頑張れば、明日、ローアマが取れるかもね」と言ったら、ローアマという栄誉を知らなかった松山は「そんなこと全然気にしてません!」と、いきなり声を荒げた。

 そのとき彼の目は「僕が気にしているのはアマチュアではなく世界のトッププロの中で自分がどこまでやれるかです。目指しているのは優勝です」と明らかに言っていた。

 そして翌日。いざローアマに輝いた松山は、ローアマがどれほど栄誉であるかをすでに知らされていたのだろう。意気揚々と表彰式に向かい、シャール・シュワーツェルが羽織ったグリーンジャケットの香りだけを、かすかに感じていた。

涙が止まらなかった2012年

 翌年、松山は再びアマチュア資格でマスターズに出場。しかし、最終日の1番でパットの狂いに動揺し、「あれっ?」と思った途端に崩れ、54位タイに終わった。

 ホールアウト後、松山の目から大粒の涙がボロボロ溢れ出し、「自分が不甲斐ない」と言って彼は激しく泣いた。

 松山のマスターズ史は、そんなふうに、とんがって、突っ張って、喜んだり怒ったり泣いたりのドタバタ劇から始まった。まだ幼かったし、若かったとも言えるのだろう。あのときから今日まで、本当に長い歳月が流れてきた。

【次ページ】 ひたすら頑固だった松山

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